現代すし学 新装改訂版 の商品レビュー
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表紙にSushiologyとある。 著者は医学者であり無類のすし好きで学会等の機会に全国のすしを食べ歩き、それが高じて一冊の本人になった。すごい。 目の前にあるすしのうんちくなどという枠にとどまらず、すしの歴史を古典まで精査して語りつくしている。とにかくすごい。医学論文を著す気迫が感じられる。 奈良時代に肉食禁止令や殺生禁止令により魚食文化が芽生え馴れずし(米と一緒に発酵させ魚肉のみを食す)が誕生し、奈良時代に「生成(なまなれ)」としていろいろな魚を浅く発酵させ米も一緒に食べる鮓(すし)となり、江戸時代になって江戸で握り寿司(鮓・鮨)が普及したという。それも江戸時代は酢などで下味をつけたすしを立ち食いで供するスタイルがメインだったと。明治になってから今の生ネタのスタイルが定着してきたという。すしの歴史はおおまかに乳酸発酵から早すしとしての酢酸発酵を歩んできたようだ。なるほど。 著者は郷土すしやすし職人の心得、すしの器選びまで全方位で語っている。まったくすごい。この本に出会えてよかった。
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