宿借りの星 の商品レビュー
いや、面白かった。内容というより、面白い体験だった。 完璧に練り上げられた独創的な世界観は、冒頭から読者の理解を待たずに最高速度で展開し、例えるなら、知らない土地に降り立った自分の手を、知らない誰かがグイと掴んで、グングンと引っ張っていかれるような感覚。 それでも暫くすると、その...
いや、面白かった。内容というより、面白い体験だった。 完璧に練り上げられた独創的な世界観は、冒頭から読者の理解を待たずに最高速度で展開し、例えるなら、知らない土地に降り立った自分の手を、知らない誰かがグイと掴んで、グングンと引っ張っていかれるような感覚。 それでも暫くすると、そのスピードに慣れ、周りの景色に目を配る余裕が生まれた時、自分の歩いている世界の鮮やかさにふと気づくような、特殊な読書体験だった。 あらすじで興味を持ち、骨太なSFを求めている方は是非。
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物凄い読書体験だった、という意味で星5。ストーリー自体はそこまで非凡な感じではないが、ディストピアを描く為の造語の嵐で、圧倒的な世界観だった。 マナーゾ死亡シーンは切なかった。昏睡から目覚めて「あー、死ぬかと思った」が最期の言葉になった知り合いを思い出した。 揚げ蟲とか肉舞美味しそう。卑徒と蘇倶の生存戦争だけど、お互い滅びなくて良かったなぁと頭の悪い感想。
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夥しい造語に埋め尽くされている。最初の1ページで10以上の造語が登場する。しかしその造語がほどけていく感覚、綴りから読み取れる物語が何よりも楽しい。造語のひとつひとつが小さな小説と言ってもいいかもしれない。 この着想、この世界の生態系が読者の頭の中に浸透していく。菌が漂い、種が蒔...
夥しい造語に埋め尽くされている。最初の1ページで10以上の造語が登場する。しかしその造語がほどけていく感覚、綴りから読み取れる物語が何よりも楽しい。造語のひとつひとつが小さな小説と言ってもいいかもしれない。 この着想、この世界の生態系が読者の頭の中に浸透していく。菌が漂い、種が蒔かれ、卵が産み付けられていく。自立する環境が頭の中にしっかりと根を張って豊かさを湛えていく。このわたしの頭の中に広がった世界の豊穣さは説明することはできないので、あなたも読んで、視て、聴いて、嗅いでみるとよい。
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「皆勤の徒」は積んだままで、これが一の酉なのだけど、これに星5つは付けられないなぁ… 星5つの大森さんのツィッターでネタ元が次郎長三国志だというのは知っていたので、なるほどこいつは鬼吉か、と納得はしました。 で、綱五郎は、法印は、伊藤政五郎は、って誰も出てこねぇぢゃねぇか、って...
「皆勤の徒」は積んだままで、これが一の酉なのだけど、これに星5つは付けられないなぁ… 星5つの大森さんのツィッターでネタ元が次郎長三国志だというのは知っていたので、なるほどこいつは鬼吉か、と納得はしました。 で、綱五郎は、法印は、伊藤政五郎は、って誰も出てこねぇぢゃねぇか、って、そういう話ではないですわな(苦笑)
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ああ…。酉島伝法の『宿借りの星』、読み終えてしまった。蘇倶たちの生き生きと、グロテスクなほどに生き生きとした蘇倶の世界の物語が終わってしまったのだ…。鮮烈すぎる世界の窓が閉じてしまい、本当に恐ろしいほどの虚無感だ。2019年ベストSFはもう『宿借りの星』しかないのではないか。
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