トリック の商品レビュー
アウシュビッツは学ぶべき歴史と考えてはいるものの、自分ごととして受け止めているかというと距離を感じざるを得ないが、それは日本の広島や長崎、福島だって同じで、自分が体験していない出来事を自分の身体に感じて、考えることはとても難しい。 この本は、ごく普通の現代のアメリカの家庭や高齢者...
アウシュビッツは学ぶべき歴史と考えてはいるものの、自分ごととして受け止めているかというと距離を感じざるを得ないが、それは日本の広島や長崎、福島だって同じで、自分が体験していない出来事を自分の身体に感じて、考えることはとても難しい。 この本は、ごく普通の現代のアメリカの家庭や高齢者施設にもアウシュビッツ生存者がいて、そしてそういう老人がやっぱり他の昔話をする老人と同じように(またおばあちゃん…)結構やれやれって感じでぞんざいに扱われてるかもしれなくて、そんなありそうな描写がアウシュビッツを、身構えることなく、身近なものにしてくれる。現代と過去の2つのパートが徐々に近づき、思ってもいなかった人物が両方のパートをつなぎ合わせる場面が最大のクライマックス。彼女と彼の壮絶な過去は息苦しくなるが、両親が離婚の危機にあるユダヤ人の男の子の奮闘を描く現代パートと、マジシャンに憧れるユダヤ人の男の子の冒険譚を描く過去パートのどちらもユーモアとファンタジックなところがあって、アウシュビッツが近づいてくるその緊張感とほんわかした気持ちが交差するといった、ちょっと変わった読書体験だった。
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素晴らしい。どこか懐かしく、どこか不安でナイーブで。 読み終えて、温かいものに包まれていることを感じる。 物語の魔法に、見事にかけられた。
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