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青のフラッグ(6) の商品レビュー

4.8

12件のお客様レビュー

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2019/04/30

 続刊が気になる引き。  どうして登場人物たちは流されず、立ち止まり、強い瞳で問いかけることができるのだろう。格好良すぎる。

Posted byブクログ

2019/04/26

さらりと公然のネタバレに触れて感想を述べる。 トーマは確かに口に出して「好きだ」とは言ったけれど、そもそも彼は本当にゲイなのだろうか。両親の死と、兄と義姉に対する情、関係性のもつれをきちんと消化できずに生じた歪みがあらわれているだけなのではないだろうか。そうだとしたら、トーマが...

さらりと公然のネタバレに触れて感想を述べる。 トーマは確かに口に出して「好きだ」とは言ったけれど、そもそも彼は本当にゲイなのだろうか。両親の死と、兄と義姉に対する情、関係性のもつれをきちんと消化できずに生じた歪みがあらわれているだけなのではないだろうか。そうだとしたら、トーマが本当に向き合うべき問題は太一との関係ではなく己のトラウマである。 もちろんその逆も考えられる。トーマが生来のゲイだったからこそ兄と義姉との関係が複雑怪奇な代物になっているのだという可能性だ。あれほど賢い義姉と真澄の深刻な会話の行方を見る限り、そちらは考えづらい気もするけれど。 また、トーマの(現在の)悲劇自体はまったく特殊な問題ではなくごく平凡な問題ではある。要するに「相思相愛になるのが難しい」というだけの話だからだ。ヘテロであっても生じる。 問題はむしろ「相思相愛になった後」の方で、こちらは自分が好意を向ける対象に一定の逆境を強いることが明らかであり、翻って現在のトーマを強く縛る要素の一つだと思われる。 いずれにせよ、トーマの内心はいずれ誰かに打ち明けなければならなかったことだ。たったひとりで立ち向かい、閉じ込めておくにはあまりにも重いことだ。たとえ一時的な揺れが生じるにせよ、一見とりかえしがつかなく思える罅割れを目の当たりにすることになっても、とにかくそれを彼が吐き出せたことを、私は心からよかったと感じている。打席に立たない生き方もできるけれど、それでは決して得られない経験がある。もしも打席に立ったなら、ホームランを飛ばせるかもしれない。

Posted byブクログ