図書館巡礼 の商品レビュー
アレキサンドリア図書館から後、欧米を中心に図書館の歴史を渡り歩く一冊。博覧強記。 個人的に面白かったのは小口絵の話。金色に塗られた小口を見たことはあるが、かなり遠い記憶で、もちろん小口絵など知らなかったから確認もせず、ちょっと残念。古い書庫に眠る文書の匂いだけで、コレラの流行がど...
アレキサンドリア図書館から後、欧米を中心に図書館の歴史を渡り歩く一冊。博覧強記。 個人的に面白かったのは小口絵の話。金色に塗られた小口を見たことはあるが、かなり遠い記憶で、もちろん小口絵など知らなかったから確認もせず、ちょっと残念。古い書庫に眠る文書の匂いだけで、コレラの流行がどこまで広がったか突き止めた医学史家がいたらしいが、確かに本(印刷?)の匂いというのは、紙の読書の楽しみの一つではある。消毒剤、紙や革、接着剤に含まれる揮発性有機化合物は予測可能な速度で分解されるから、年代も判別できるそうだ。 ザンクト・ガレン修道院のロココ様式の図書館は、行ってみたい場所の一つになった。 図書館の閉鎖について。学識や文化や市民社会にとって書物がいかに大切かをアレクサンドリアやアテナイは知っていた。図書館の歴史はその大切さが忘れられ、再発見され、再び忘れられていく過程だ、と書く。そうかもしれない。時代に抗っても仕方ないし、個人的には紙と電子書籍を使い分けて楽しんでいるから、デジタル化自体は悪いことではないと思っている。ただ著者も書いているけれど、電子データだけになってしまうと、失われる危険性は紙とたいして変わりないように見えるから、紙データをやはり残してほしいし、「フラクタルで偶発性に富んだ図書館を見て回りさまよい歩く楽しみ」は、紙の本の存在が前提。一つの楽しみ方としてもせめて現状を維持してほしいと思っている。
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古今東西の図書館、司書、愛書家、書籍商等の逸話集です。 書名から図書館史だろうと思っていましたが、短いマイナーな話題が詰め込まれているものでした。 一つ一つが丹念に調べ上げられ、どんどん掘り下げられていくマニアックな一冊。
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評判がよさそうだったので購入。 図書館史的な内容と思ったけど、図書館のエピソードや愛書家、書物収集家を見ていくような図書。なので図書館史的な面はあるとしても、小説を読んでいるような感覚だった。
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図書館の歴史について……と思って買ったのだが、蓋を開けてみると、生田耕作が訳した愛書家シリーズを彷彿とさせる内容だった。いや、歴史や社会的な役割について触れていないわけではなく、著者もそちらを指向していると思われるのだが、出来上がった本書は何故か現代の『愛書狂』に変貌していたよう...
図書館の歴史について……と思って買ったのだが、蓋を開けてみると、生田耕作が訳した愛書家シリーズを彷彿とさせる内容だった。いや、歴史や社会的な役割について触れていないわけではなく、著者もそちらを指向していると思われるのだが、出来上がった本書は何故か現代の『愛書狂』に変貌していたように感じられる。
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