ROEを超える企業価値創造 の商品レビュー
エーザイがエマージング・マーケットに本格進出して、ブランド・エクイティを積み上げると言う選択は、Factfulnessの話からも正しい
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日本企業は生産性が低いといわれている。低い理由として、売上至上主義が根強く、利益率に対する意識の低さや、株主不在のガバナンス(政策保有株式が多く、株主の意見が反映されにくい)が指摘される。 また生産性を図るひとつの尺度として、ROE(自己資本利益率)がある。アベノミクス前で日本...
日本企業は生産性が低いといわれている。低い理由として、売上至上主義が根強く、利益率に対する意識の低さや、株主不在のガバナンス(政策保有株式が多く、株主の意見が反映されにくい)が指摘される。 また生産性を図るひとつの尺度として、ROE(自己資本利益率)がある。アベノミクス前で日本企業のROEが4%程度だったのが、2014年経済産業省がまとめた報告書(通称「伊藤リポート」)で8%を目指すことが盛り込まれ、その後新型コロナウイルス感染拡大前で8%程度まで上昇した。 しかしながら、その上昇要因はコストカットと円安が大きく、その企業収益の向上が給料に反映されていない(労働分配率が上がっていない)ことから、国民に実感のない景気拡大とも言われる。本来は、企業価値向上としてのROE向上が本筋であり、日本企業はまだまだその道半ば(成長余地があるともいえる。) 加えて、日本企業はリーマンショックや東日本大震災などの様々なリスクに備えて現金を貯めこみがちであり、もしその現金で投資するにしても、その投資判断に対しても海外投資家から懸念を持たれている状況であるため、場合によっては日本企業の保有する現金価値が半分にまでディスカウントされることもある。 これらのことから、本書では、日本企業は「最適資本構成」をそれぞれの企業の特性に応じてもっと考えていく必要があることを強く主張している。 そしてROEを高める方策として配当に振り向けるにしても、最適資本構成に基づく最適配当政策を株主等に説明し、しっかり対話を続けていく必要があるとしている。 また、ROEが会社の価値を適正にあらわしているのか、という議論もなされる。例えばESG(環境、社会、企業統治)、研究開発、人的資本などの非財務価値についてはROEには反映されないが、これを両立させる、あるいは、日本企業がESGとROEの価値関連性を示して潜在的な非財務の価値を顕在化させることができれば、日本企業が持っている価値をもっと高められるのではないか。 これが、本のタイトルである ROEを超える企業価値創造とは何かに結び付く。 筆者三人が、それぞれ異なる立場から、上記に関して丁寧に議論を重ねているが、特に柳氏のエーザイでのCFOとしての、最適資本構成の考え方に基づく配当政策であったり、ESG投資の「非財務価値」を財務価値として説明する所は非常に説得力があり、このような日本企業がもっと増えたら、海外投資家の日本企業を見る目線は必ず変わってくるのではないか、と感じる。 今の日本が、海外企業と比べて何が足りないか、そしてどうしたらよいかがクリアに理解できる本です。
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またまた広木隆好きなので確認。 投資本と思ったら経営者向けの本、巡りめぐって投資家のための本でもあるが。読んだ後で自分の所属する会社のことを検証してみたくなった。 日本企業が過小評価されている理由をデータで丁寧に説明しているが、終章会談にある、要するにプロ経営者が少ないことと、現...
またまた広木隆好きなので確認。 投資本と思ったら経営者向けの本、巡りめぐって投資家のための本でもあるが。読んだ後で自分の所属する会社のことを検証してみたくなった。 日本企業が過小評価されている理由をデータで丁寧に説明しているが、終章会談にある、要するにプロ経営者が少ないことと、現状で致命的に困っている人が少ない構造が理由。困ってないのに強制されるとどうなるか、手段が目的になる。 『ESGのためのESGではなくて、企業価値創造の為のESG』とは、確かに結論。 統計が少し分からないと辛いかもしれない。分かってても分からない(確められない)部分があり、少し不満。
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柳CFOが主筆者なようで相当に理論書テイストだった。ROEとESGの検討は面白く読めた。海外も日本も資本市場という「共通ルール」とは言うが、村社会論理の日本ではROEを高めるのに労働分配率を下げてやるのが手っ取り早かっただけなのだなと思われた。橘玲氏の煽り的に言えば企業の奴隷とし...
柳CFOが主筆者なようで相当に理論書テイストだった。ROEとESGの検討は面白く読めた。海外も日本も資本市場という「共通ルール」とは言うが、村社会論理の日本ではROEを高めるのに労働分配率を下げてやるのが手っ取り早かっただけなのだなと思われた。橘玲氏の煽り的に言えば企業の奴隷としての労働者でもある。自律した個人と言うならばフィナンシャルリテラシー、有り体に言えば投資家としての存在も持つことを真剣に検討すべきだろう。
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