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Xと云う患者 龍之介幻想 の商品レビュー

4.3

15件のお客様レビュー

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2019/05/24

芥川龍之介の作品にインスパイアされた短編集。 著者は英国生まれだが、日本文学に精通し現在は日本在住、東大で教鞭もとる。 ああ、もう一度芥川作品を読まなくては…。

Posted byブクログ

2019/05/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

芥川龍之介の世界観を積み重ねて、 独自の世界を築くという 小説でしかなしえない離れ業を成し遂げている。 最後にあげられた日本文学の英訳の 列挙をみて、日本人、もっと 日本文学読もうよ、と思った。 脇を固める、斎藤茂吉などの作品も 改めて読み返したいと思った。

Posted byブクログ

2019/04/16

日本在住のイギリス人著者が芥川作品の英訳を多数引用して作品を構成しているわけだが、その部分も含んで日本語に訳す、という単純ならざる訳業。 「戻し訳」ではなく芥川の文章そのものを使ったことや、当時の表記(エドガア・アラン・ポオ、レエン・コオト、ジョオンズ、洋燈と書いてランプとルビを...

日本在住のイギリス人著者が芥川作品の英訳を多数引用して作品を構成しているわけだが、その部分も含んで日本語に訳す、という単純ならざる訳業。 「戻し訳」ではなく芥川の文章そのものを使ったことや、当時の表記(エドガア・アラン・ポオ、レエン・コオト、ジョオンズ、洋燈と書いてランプとルビをふるなど)にも細やかに配慮されたこと、更に引用や出典も無理なく収められていることなど、訳者の力量に恐れ入る。文壇の人名や明治から大正の時代の雰囲気もよく盛り込まれ、誰が書いたのか戸惑うほど。 こうなると半分は訳者の作品だよね。うん。

Posted byブクログ

2022/09/06

R. A 様 拝啓 貴方が命を絶ってから長い年月が経ちました。地獄でいかがお過ごしでしょうか。 先日、奇妙な小説を読了致しましたので、御報告させて頂きます。『Xと云う患者 龍之介幻想』というこの小説は、気鋭の幻想小説家として知られる英国人作家、デイヴィッド・ピイス氏によって書か...

R. A 様 拝啓 貴方が命を絶ってから長い年月が経ちました。地獄でいかがお過ごしでしょうか。 先日、奇妙な小説を読了致しましたので、御報告させて頂きます。『Xと云う患者 龍之介幻想』というこの小説は、気鋭の幻想小説家として知られる英国人作家、デイヴィッド・ピイス氏によって書かれたものです。貴方に心酔する彼は、貴方の作品や生涯をコラージュし、詩情を加えて、幻想短編小説集として甦らせました。つまり貴方へのオマージュ作品であり、パスティーシュ文学と見なすことも出来るでしょう。 死後このような形で自分が戯画化されることについて、貴方がどう思うのか私には分かりません。憤慨、嫌悪、絶望、それとも自虐的な愉悦?「これもまた地獄の形」と、自分自身すら軽蔑するように、貴方は片頬をゆがめて笑うのでしょうか。 地獄。貴方にとっては、人間の愚鈍さと共に延々と続く日常こそが地獄でした。例え皆がそれを幸福と呼んでいたとしても。葱のはみ出た買い物袋を抱えて家路を急ぐ、そんな日常にも美は宿る…、そう考える芸術家は決して少なくありません。しかし、それは貴方にとっての美ではなかった。 貴方にとって芸術とは、極限まで研ぎ澄まされた刃のようなものでした。これ以上そぎ落としたら崩壊してしまう、そんな脆さと紙一重の鋭さこそ芸術家の証と貴方は考えた。でも、それは生活とは致命的に相容れない資質でした。事実、芸術か生活か、片方を取らねばならなくなった時、貴方は芸術を選び、その業に殉じたのでした。 本のレビュウになっていないじゃないか、と思われますか?しかし、この本の内容を説明するに、私にはこのような書き方しか思いつかなかったのです。漠然とした不安が倫敦の深い霧のように漂う、この不穏な小説の前では。 内容をお知りになりたければ、御自身で一読されるのが宜しいでしょう。貴方はこの本の中で、貴方が創造した登場人物や、貴方自身のドッペルゲンゲルや、在りし日の夏目先生にさえ、会う事が出来るでしょう。尤も、読み終えた時に正気を保てているか、保証は致しかねますが。 敬具 令和元年 四月某日 貴方の愛読者より

Posted byブクログ

2019/03/23

デイヴィッド・ピースの最新作。 『TOKYO YEAR ZERO』しか読んだことがなかったので、何となくノワール作家のイメージがあったのだが、本作は芥川龍之介を主人公に据えた幻想的な連作短編集。『TOKYO YEAR ZERO』のイメージは完全に覆されたw 芥川龍之介だけでなく、...

デイヴィッド・ピースの最新作。 『TOKYO YEAR ZERO』しか読んだことがなかったので、何となくノワール作家のイメージがあったのだが、本作は芥川龍之介を主人公に据えた幻想的な連作短編集。『TOKYO YEAR ZERO』のイメージは完全に覆されたw 芥川龍之介だけでなく、様々なテクストを元にした短編で、巻末の訳者あとがきにある『コラージュ』という言葉がピッタリだと思う。『小説』としては禁じ手なのかもしれないが、私には面白かった。 (ところで、執筆中と言われている、〝TOKYO YEAR ZERO〟三部作の第三部はいつ出るのだろうか……)

Posted byブクログ