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囚人と狂気 の商品レビュー

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2023/04/17

 19世紀フランスにおける監獄制度の改革について、第1部では制度改革の史実を追い、その背景にあった理想や考え方を明らかにする、第2部では社会背景の中に文学作品を置き直し、作家たちによる監獄や囚人の描写の特徴とその社会的意義を問い直す、といった内容である。  第1部を読んで知った...

 19世紀フランスにおける監獄制度の改革について、第1部では制度改革の史実を追い、その背景にあった理想や考え方を明らかにする、第2部では社会背景の中に文学作品を置き直し、作家たちによる監獄や囚人の描写の特徴とその社会的意義を問い直す、といった内容である。  第1部を読んで知ったこと。 ◯1820年代の監獄改革は“博愛主義者“による理想主義的なものだったが、犯罪者が真人間への改良は幻想だ、甘やかしているとの批判を受けて、影響力が落ちたこと。 ◯大きくは、2つの監獄制度を巡る対立があったこと。  ・ペンシルヴェニアシステム〜昼夜の独房制度  ・オーバーンシステム〜昼は共同労働に従事し夜間のみ独房に入れるもの ◯ペン派の代表はトックヴィル、オーバーン派の代表はリュカ ◯骨相学等の流行その他による囚人像の変化 ◯独房拘禁が精神錯乱等の狂気や自殺に繋がるかどうかの科学的評価、論争  第2部では、犯罪と文学と言えば定番のバルザック、ユーゴー、ウージェーヌ・シューのほか、処刑されたラスネール、降ってゴンクール兄弟、ロートレアモンの作品などが取り上げられる。  こうした多角的な表象分析によって、犯罪や囚人に対するイメージが変化し、それが監獄という一つの制度に結び付いていったことが明らかにされていく。  監獄という視点から19世紀フランスの有り様がまざまざと浮かび上がる。 (付記)  ラスネールの回顧録は、平凡社ライブラリーから翻訳が出ているので、読んでみよう。

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2019/08/12

囚人と狂気: 一九世紀フランスの監獄・文学・社会。梅澤礼先生の著書。独房に収監されて絶望感と孤独感を徹底的に植えつけられれば、誰だって精神を病んでしまって、更生や社会復帰どころではなくなるのは当たり前のこと。犯罪加害者や囚人が更生して社会復帰する上での手助けをどのようにするのかは...

囚人と狂気: 一九世紀フランスの監獄・文学・社会。梅澤礼先生の著書。独房に収監されて絶望感と孤独感を徹底的に植えつけられれば、誰だって精神を病んでしまって、更生や社会復帰どころではなくなるのは当たり前のこと。犯罪加害者や囚人が更生して社会復帰する上での手助けをどのようにするのかは、いつの時代でも大切な問題。

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