番号を創る権力 の商品レビュー
論文ベースで書かれていることもあり、認知負荷は重め。 だが、番号制度という観点から、フラットに歴史的経緯も含め解説がされており、今のマイナンバー制度を考えるに非常に有意義だった。 番号という観点から言えば、福祉がそれぞれの分野において発達した状態からの共通番号付番がうまく行った...
論文ベースで書かれていることもあり、認知負荷は重め。 だが、番号制度という観点から、フラットに歴史的経緯も含め解説がされており、今のマイナンバー制度を考えるに非常に有意義だった。 番号という観点から言えば、福祉がそれぞれの分野において発達した状態からの共通番号付番がうまく行った例が乏しかった点は直感と異なる新たな視点だった。 また、個人的に一番学びだったのは、日本の行政学が「国民番号制度」の失敗に対して、国家と国民の間の情報のやり取りに着目し、プライバシーを重視する市民の抵抗にクローズアップするのみで、失敗の詳細に立ち入った検討をしていないという指摘だった。 よく語られる一般論としては耳馴染みがある論だが、実態と乖離していると筆者は指摘し、その政治的経済的な団体対立を根本原因を指摘する。 歴史的観点から丁寧に経緯を追っていくとともに、現行制度に対して早急な評価を下さない本書の流れと結論には、うまく言語化できないがとても良いと感じた。
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