7袋のポテトチップス の商品レビュー
本書に出てくる新宿駅東南口の定食屋さん、ずっと入りたくて入れていないお店でした。中原一歩「寄せ場のグルメ」や今柊二「定食学入門」に出てくるお店はわざわざ行ってみたりしているのに都心ど真ん中のこのお店は食事のタイミングと合わずにスルーして来たのです。このお店が1915年に開店してい...
本書に出てくる新宿駅東南口の定食屋さん、ずっと入りたくて入れていないお店でした。中原一歩「寄せ場のグルメ」や今柊二「定食学入門」に出てくるお店はわざわざ行ってみたりしているのに都心ど真ん中のこのお店は食事のタイミングと合わずにスルーして来たのです。このお店が1915年に開店していたとは!「新宿に荷馬ならぶや夕時雨」人に、そして馬にもエネルギーを補給してきた食堂の存在は地層にアンモナイトの化石が露出しているようなものです。いや現役の店を化石呼ばわりは間違っていますね。「胃袋の近代」の著者が、その考察の射程を高度経済成長時代に合わせて描く、いわば「胃袋の戦後」です。長野屋さんという存在が歴史と現在を地続きにしているように、著者のおばあちゃん、おかあさんとの女系三代の極私的な物語が、歴史を生き生きとしたものにしています。それは「7袋のポテトチップス」という著者の息子さん世代の物語にも繋がっていきます。そこには水俣の地域再生のストーリーやこども食堂という新しい公共のポテンシャルにも接続されていきます。「飽食」までの歴史と「崩食」への転換と、そして「逢食」という希望への時間軸でもありました。冒頭の顔がアンパンじゃない初期アンパンマンって著者のことかも、と思いました。
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配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=10277218
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なかなか分厚くて読むのに時間がかかったが、とても面白かった。小説ではなく史実をまとめた専門書(?)だが、抵抗なく読めた。生きることは食べることであり、先人たちが生きたい、もっと食べたいと必死に取り組んでくれたからこその豊かな食生活だが、減反政策や都市化に伴う農地減少などによって農...
なかなか分厚くて読むのに時間がかかったが、とても面白かった。小説ではなく史実をまとめた専門書(?)だが、抵抗なく読めた。生きることは食べることであり、先人たちが生きたい、もっと食べたいと必死に取り組んでくれたからこその豊かな食生活だが、減反政策や都市化に伴う農地減少などによって農業が縮小し、また多くの食べ物がロスとして処分されてしまっている現状には、先人たちも嘆いてるのではないか。戦中・戦後の食糧難の時代を強く生き抜いてきた方達の記録を見ると、今の食生活は大変ありがたいが、過剰なまでに発達したと思う。 祖母、母、私の嫁入り道具3世代比較表は、年末に実家帰った際にでも作ったみたい。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆ http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB27942819
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1.7袋のポテトチップスと書いてあったのに、他の食材が出ていることが気になったので読みました。 2.戦中から戦後の食生活の変化をメインテーマとして書かれています。戦中はとにかく「食べること」が当たり前でなかった時代です。このような時代で当時の人たちはどのような生活を送っていたの...
1.7袋のポテトチップスと書いてあったのに、他の食材が出ていることが気になったので読みました。 2.戦中から戦後の食生活の変化をメインテーマとして書かれています。戦中はとにかく「食べること」が当たり前でなかった時代です。このような時代で当時の人たちはどのような生活を送っていたのかが書かれています。 そして、この時代を経て、戦後の食文化の基礎をきずいた村上氏の話を加えながら、戦後にかけて食文化がどれだけ豊かになるのかを述べています。また、それに加え、食生活における問題点が明らかになっており、なぜこうなってしまったのかを解説しております。 3.現在は個人が尊重される一方、孤人が多くなってしました。「食事はみんなで楽しむもの」という考えが薄らぎ、「1人で簡単に済ませるもの」という考えが強くなっていきました。私はこの風潮に対して危機感を感じました。なぜなら、人間本来の楽しさを求める本能が薄らいでいる気がするからです。誰かが作ったものをみんなで共有し、楽しむことで、豊かさや幸福感が培われていくからだと思います。 また、今は「魅せるための食」になっています。SNSで「いいね」をされるめに、美味しい店を巡って自己承認欲求を満たされている気になっている人が一定数居ると思っています。お店の繁盛のため、仲間と今後一緒に行くためのものでしたらいいと思いますが、「いいね」を押されるだけが目当ての食では、何処まで行っても孤人なのではないかと思いました。
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食の戦後史という堅い内容にそぐわないライトな表題に惹かれて読み始めたが、男性の無知(無理解)な発言に端を発する「ポテサラ」(買うか・作るか)論争にも通ずる家庭料理の変遷に思い至る。ところで、ポテトサラダ自分でもやってごらんなさい、おいしく作るの結構大変だから…
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日本人の胃袋というキーワードで分析すると、戦前・戦中・戦後・高度成長期・バブル期から現在に至るまで、一つの大きな流れがあることを実感できる一冊。それぞれの時代に様々な料理を愛してきた日本人。それらは産業構造と社会意識の変化や政治政策からも影響を受けています。若い世代の料理人の皆様...
日本人の胃袋というキーワードで分析すると、戦前・戦中・戦後・高度成長期・バブル期から現在に至るまで、一つの大きな流れがあることを実感できる一冊。それぞれの時代に様々な料理を愛してきた日本人。それらは産業構造と社会意識の変化や政治政策からも影響を受けています。若い世代の料理人の皆様にも、ぜひお読みいただきたい一冊。
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食のありかたが変化していることに気付かされた1冊。胃袋で食べる→舌で(味わって)食べる→目で(観賞して)食べる→頭で(選別して)食べる…。食べることをもっと大切にしなければと自戒。
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図書館の新刊コーナーでたまたま出会った一冊だが、戦後の食の歴史を丁寧に調査されていて、興味深かった。とくに、この本のタイトルとなっている「7袋のポテトチップス」のエピソードは、ぞくっと来た。 私も子供を育てる身。これからを生きる子供が、どのような食の体験をするのか。食べることが好...
図書館の新刊コーナーでたまたま出会った一冊だが、戦後の食の歴史を丁寧に調査されていて、興味深かった。とくに、この本のタイトルとなっている「7袋のポテトチップス」のエピソードは、ぞくっと来た。 私も子供を育てる身。これからを生きる子供が、どのような食の体験をするのか。食べることが好きな一人として、歴史とこれからの可能性を知れたことは有意義だった。
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