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バスラーの白い空から 新装版 の商品レビュー

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2024/01/27

筆者の佐野英二郎さんは、(おそらく)1927年のお生まれ、海軍で人間魚雷に乗り込む訓練を受けたが、出撃せずに終戦。その後、早稲田大学に進み1952年に卒業し、商社マンとして37年間を過ごす。そのほぼ半分にあたる年月を海外で過ごしている。1987年胃がんの手術、1989年商社退職、...

筆者の佐野英二郎さんは、(おそらく)1927年のお生まれ、海軍で人間魚雷に乗り込む訓練を受けたが、出撃せずに終戦。その後、早稲田大学に進み1952年に卒業し、商社マンとして37年間を過ごす。そのほぼ半分にあたる年月を海外で過ごしている。1987年胃がんの手術、1989年商社退職、1990年肺気腫を患い1992年7月に急逝。約65年の短い生涯であった。生前に「とい」という雑誌に文章を発表していたが、それを読んだ友人の歌人、中村稔が、他の文章を加えて書籍化したのが本書。全部で8編のいずれもやや短いエッセイが収載されている。奥様を亡くされたこと、愛犬を手に入れたこと、愛犬を亡くされたこと、勤務先での海外での経験を、美しい文章で書かれている、とても印象的なエッセイ集である。 私は本書を、須賀敦子の書評で知った。 「しずかな、あたたかい文章でつづられたこの小さな作品集・・」「師走の日々にとかくすさんだ心が慰められ、もしかしたら、来年はもうすこしやわらかい心をもって生きられるかもしれないほのかな希望に、凩(こがらし)の冷たさを一瞬わすれた」等と須賀敦子は本書を紹介している。 奥様と愛犬を亡くされたことを書かれた作品は、淡々と描かれているが、佐野さんの深い哀しみが伝わってくる。遠い昔の海外での経験を書かれた作品は、逆に生き生きと、そして、その時を慈しむように書かれている。確かに筆者は「やわらかい心」を持たれていた方なのだろうと思う。

Posted byブクログ

2021/06/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中村稔『私の昭和史』の350頁で紹介されていた。 須賀敦子の書評の一部とともに。 終戦時に川棚にいたらしい。 なにも経験を共有してないのに懐かしい気持ちになる。

Posted byブクログ