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ばれてもともと―色川武大遺稿集 の商品レビュー

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2019/03/30

「色川武大の文章」の魅力について考えた時、ふと分野は異なるが「桑田佳祐の歌」と近い点がいくつか思い浮かんだ。 どちらも、その魅力の要がtone(色川さんの場合は文体、桑田さんの場合は正に声そのもの)であり、大げさに言うなら「作品が何について語っているか(書評の対象が何かとか、歌...

「色川武大の文章」の魅力について考えた時、ふと分野は異なるが「桑田佳祐の歌」と近い点がいくつか思い浮かんだ。 どちらも、その魅力の要がtone(色川さんの場合は文体、桑田さんの場合は正に声そのもの)であり、大げさに言うなら「作品が何について語っているか(書評の対象が何かとか、歌詞がどうとか)以前に、その声だったり文に触れるだけで受け手を惹きつけてしまうような圧倒的な強度」である。 あとは「才能や感性でさっと作っているように見えて、かなり冷静な自己批評の視点を持ち合わせている感じ。また、それを作品に落とし込むバランス感覚」だ。 また、どんなに人間のロクでもない部分を描いても、根っこの部分の品性は決して逸脱しない様に感じるところも、共通点と言えるかもしれない。 改めて色川さんの文章をまとめて読むと、語彙の豊かさと、その豊かな語彙を文の流れの中にあくまで自然に配置するスキルの高さに驚かされる。

Posted byブクログ