グローバル都市を生きる人々 の商品レビュー
その昔『3年B組金八先生』で、「あなたは周りの人から自分の名前を呼ばれて、そこではじめてあなたになります」と、金八先生が生徒に語りかけたことがあった。 本書の研究対象であるアメリカに移住したイラン人に金八先生はいない。だが彼らは生まれ故郷から離れたところで生活することで、自らの...
その昔『3年B組金八先生』で、「あなたは周りの人から自分の名前を呼ばれて、そこではじめてあなたになります」と、金八先生が生徒に語りかけたことがあった。 本書の研究対象であるアメリカに移住したイラン人に金八先生はいない。だが彼らは生まれ故郷から離れたところで生活することで、自らのよって立ってきたところを初めて認識するようになる。筆者は当事者に対するインタビュー等を通じ、その過程を描き出す。そこには、それまで「別人」と認識してきた同郷人が、「イラン人」として他者からひとくくりに認識されるということも当然起こりうる。アイデンティティーを巡る旅である。 イランに住んでいるとかならず、自分の親戚が欧米に暮らしているという人と知り合う。そのような人々の欧米での生活状況は、これまで断片的にしか伝わってこなかったが、本書でその一端を垣間見ることができた。
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