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ヒョンナムオッパへ 韓国フェミニズム小説集 の商品レビュー

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20件のお客様レビュー

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2024/09/29

あらすじ(白水社より)#Me Too運動の火付け役ともなった『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著)が韓国で100万部以上の売り上げを突破し、大きな話題を呼んでいる。本書は韓国でその人気を受けて刊行された、若手実力派女性作家たちによる、初の書き下ろしフェミニズム小説集の...

あらすじ(白水社より)#Me Too運動の火付け役ともなった『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著)が韓国で100万部以上の売り上げを突破し、大きな話題を呼んでいる。本書は韓国でその人気を受けて刊行された、若手実力派女性作家たちによる、初の書き下ろしフェミニズム小説集の邦訳である。 チョ・ナムジュによる表題作「ヒョンナムオッパへ」の主人公は、地方出身の女子。ソウルの大学に進学して、先輩のヒョンナムに恋をし、彼に守られて10年以上青春期を過ごすが、実際には何もかも彼に操作されていたと気づき……。『82年生まれ、キム・ジヨン』では、女性として生きる上で直面する様々な困難や疑問が提示されたが、本作では実際に行動を起こすところまで踏み込んでいる。 ほかに、母親との葛藤を抱えた女性の主人公が、弟の結婚を契機に母との関係、女性としての生き方に思いを巡らす「あなたの平和」、受験を控えた中学生の息子と小学生の娘の問題に悩む専業主婦の複雑な感情に光を当てた「更年」など、各篇に描かれている事例は、日本の各世代の女性たちの共感を呼ぶ。 また、韓国の男性社会の暴力性への違和感を、都市空間への違和感として象徴的に描いた「すべてを元の位置へ」や、ハードボイルドの男女の役割を入れ替えたサスペンス仕立ての「異邦人」、宇宙空間での出産をテーマに、女性のクローン人間と雌犬とロボットの心温まる交流を描いた「火星の子」など、フェミニズムへの多彩なアプローチを楽しめる。(https://www.hakusuisha.co.jp/book/b432181.html) 「ヒョンナムオッパへ」「あなたの平和」あたりはすごくリアルで読むのキツくなるくらいだった。後半にかけて段々と現実から少し離れたノワール、ディストピア?ファンタジー?、SFと世界が広がっていく。フェミニズム小説と一括りにしてもこれだけさまざまなテーマ、作風があるんだなあと感動。 特に「ハルピュイアと祭りの夜」は世界観を膨らませて、もう少し長編化した上で映画化してほしい。映像としてみても面白そう。

Posted byブクログ

2024/09/26

フェミニズムとは大きく女性についてのものだけど、特に母親について考えさせられた。 自分も女だけど、なぜか母親の気持ちや立場をきちんとわきまえられていなかったというか、母親としてこうあるべきだっていうのが、自分の中にあってそれを無意識に押し付けていたのではないかと思った。 いま、こ...

フェミニズムとは大きく女性についてのものだけど、特に母親について考えさせられた。 自分も女だけど、なぜか母親の気持ちや立場をきちんとわきまえられていなかったというか、母親としてこうあるべきだっていうのが、自分の中にあってそれを無意識に押し付けていたのではないかと思った。 いま、こういうフェミニズムに触れて、女性の権利について考えて、こうなればいい、ああなってほしいと思うけど、 女性に対する男性の態度だけじゃなくて、 女の自分も母親に対する態度について改めなきゃなと思う部分に気づいた。

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2024/07/12

最初の3作は面白かった。後半に行くにつれてファンタジー要素が強くてよく分からなかった。同じ一冊にまとまっていることが不思議なくらい系統が違った。

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2024/03/01

フェミニズム は、わたしを自由にさせる、フェミニズム小説は、わたしを不自由にもさせる そのあわいでいかに、らくに息を吸って、吐いて、いきていくことができるか。 生きづらさから生まれた物語を読むのはつらいしエネルギーが必要だけれど、自分がより楽に…とも違う、こう、息がしやすくなるよ...

フェミニズム は、わたしを自由にさせる、フェミニズム小説は、わたしを不自由にもさせる そのあわいでいかに、らくに息を吸って、吐いて、いきていくことができるか。 生きづらさから生まれた物語を読むのはつらいしエネルギーが必要だけれど、自分がより楽に…とも違う、こう、息がしやすくなるように、その糧にもなる、と思う。思いたい. いちばんしっくりきたというか共感したのは、チェ・ジョンファさんが作家ノートで書かれていたこと・フェミニズムを知り、以前よりずっと自由になった反面、自分の中から滲み出る女性嫌悪という矛盾に不自由さを感じているということ まず一番に解放されること、しかしそれがいっとうむずかしい 選択肢の、道の多さたるや 過激な、表面からは覗き見ることが難しい真髄、隠された意図を苦心してひとつずつ、探していきたい 読めて良かった。

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2023/05/03

『82年生まれキム・ジヨン』のヒットを機に編まれた、韓国女性作家たちによるフェミニズムをテーマとする短編集。最初の数本は「キムジヨン」系の家父長制家族をテーマにしたものだが、後半になるとぐっとバリエーションが広がって楽しめる。 チェ・ジョンファの「すべてを元の位置へ」は、暴力的に...

『82年生まれキム・ジヨン』のヒットを機に編まれた、韓国女性作家たちによるフェミニズムをテーマとする短編集。最初の数本は「キムジヨン」系の家父長制家族をテーマにしたものだが、後半になるとぐっとバリエーションが広がって楽しめる。 チェ・ジョンファの「すべてを元の位置へ」は、暴力的に進むソウルの再開発を背景に、廃墟ビルの中に蠢く亡霊のような生の気配と、女性調査員の手に生じる発疹が重なりあう。ク・ビョンモの「ハルピュイアと祭りの夜」は、拷問死を遂げたギリシアの女性数学者ヒュバティアを題材とし、「コルセット」文化や性暴力を激しく攻撃するラディカルフェミニズムの潮流上にあるようだがひねりをきかせてある。 最後のキム・ソンジュン「火星の子」はこのままSFアンソロジーに載っていてもおかしくない、種を超えたシスターフッドの物語。やっぱりこういうのが好きだな。

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2023/03/29

気になりながらも、なかなか手をつけられなかった、韓国フェミニズム文学。まずはアンソロジーから。 ストレートでリアルな物語も、抽象的だったりSFめいていたりする物語も、どれも面白い。韓国で起こったことをきちんと知ってから読めば、印象が変わりそうなものもあるし、フェミニズムのその先に...

気になりながらも、なかなか手をつけられなかった、韓国フェミニズム文学。まずはアンソロジーから。 ストレートでリアルな物語も、抽象的だったりSFめいていたりする物語も、どれも面白い。韓国で起こったことをきちんと知ってから読めば、印象が変わりそうなものもあるし、フェミニズムのその先に視線がありそうなものもある。学びと面白みが両立してる。 「オッパ」って、韓国のドラマや、アイドルのファンダム周りでよく耳にするけど、その言葉一つとっても、こんな背景があるんだ〜と知ると、もっといろいろ知りたくなる。知りたいことは、尽きないなあ。

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2022/04/20

表題作が痛快でほんとに心地よい。作家ノートの「私は「みんなで幸せに暮らしました」というような結末を信じはしませんが、また、それは絶対に不可能なことでもないと思っています。」という文章も最高。

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2022/02/28

フェミニズムを題材にして、気鋭の女性作家たちが短編を持ち寄った、韓国の小説集。察するに日本より型にはまった社会であろうに、問題意識はあくまで鋭く深い。同じ題材で日本だったらこういくかと唸らせられるほど、多様な描き方にもっと韓国文学を読みたくなった。

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2021/07/18

設定がバリエーションに富んでいました。大学の先輩後輩、義理の妹ができることと母のこと、息子娘を見つめる母のこと、元女性刑事のことなどなど。ショッキングなストーリーも多々ありましたが、それ以上に多様な面白さがありました。

Posted byブクログ

2021/06/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

フェミニズムをテーマにした韓国の女性作家たちによる短編集。 『ヒョンナムオッパへ』 「ジェンダー規範に従うことを選ぶ女も悪い」「DVだ搾取だと言いつつ女も結構良い思いしている」「女も差別され支配されることを望んでいる」……こんな声を鮮やかに蹴散らす一作。支配と暴力は巧妙に始まり、気づくことさえさせないものだ、ということを抉り出す。 『更年』 「あなたの身近な男性――例えば息子や夫が性暴力の加害者になったらどうしますか?」……誰もが答えに詰まる質問を淡々と投げかける。後味は悪い。でも、その悪さこそが答えなのかもしれない。 『ハルピュイアと祭りの夜』 「Not ALL Men!」「自分は加害者じゃないから差別とか言われても困る」という言葉に潜む傲慢と加害性を告発する短編ホラー。ミサンダリーすら感じるオチに、それでも胸がスッとしてしまうことに私が女性として抱えている憤怒と憎悪を思い知らされる。中立であることは公平や正義を担保しない。 『火星の子』 遥か未来、火星に送り込まれたクローン女性とライカ(スプートニクと共に爆死したソ連の実験動物の幽霊)、ダイモス(探査ロボット)の織り成す小話。生命賛歌とシスターフッドの温かさが何とも爽やか。

Posted byブクログ