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シェル・空間構造の基礎理論とデザイン の商品レビュー

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2020/02/21

 “空間構造”とはホールやスタジアム,体育館などの大空間を有する建築構造のことで,“シェル構造”とはシェルと呼ばれる薄い膜状の構造材を用いた空間構造の一種です.シェル構造を用いた著名な建築の例としては,ヨーン・ウツソンによるシドニーオペラハウス(1973)や,エドゥアルド・トロハ...

 “空間構造”とはホールやスタジアム,体育館などの大空間を有する建築構造のことで,“シェル構造”とはシェルと呼ばれる薄い膜状の構造材を用いた空間構造の一種です.シェル構造を用いた著名な建築の例としては,ヨーン・ウツソンによるシドニーオペラハウス(1973)や,エドゥアルド・トロハによるサルスエラ競馬場(1935)などがあります.シェル構造を設計,すなわち外乱を受けた時に生じる変形を計算するためには,現在の大学で学ぶような構造力学の範疇を超える力学や数学の知識が必要になります.近年は,コンピュータを使った数値解析によってあらゆる形状のシェルの構造解析が誰でも簡単にできる時代です.しかしながら,コンピュータが無い時代に活躍した構造家たちが証明しているように,優れたシェル構造の設計には必ずしも数値解析は必要ではなく,むしろ基礎理論を知らなければコンピュータを使っても構造設計業務はままならないとすら言えます.  本書では,そのようなシェル構造に関する基礎的な力学論に始まり,空間構造の耐震設計や構造最適化などの発展的な内容まで記述されています.また,写真や図も豊富で,古典的なシェル理論の参考書と比べて読みやすいといった特徴もあります.学生・実務者問わず,より発展的な構造工学を学びたい方におすすめの一冊です. (ラーニング・アドバイザー/構造エネルギー工学 OMURA) ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/book/1818322

Posted byブクログ