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早く家へ帰りたい の商品レビュー

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2024/10/20

高階杞一さんの詩集ですね。  2019年、発行が初版は1995年に偕成社より刊行されています。  1994年9月に息子さんの雄介さん(三歳)を突然なくされています。  この詩集は、生まれて以来、病気と闘ってきた、雄介さんへの「さまざまな思いを、あふれるままに詩という形で綴ったもの...

高階杞一さんの詩集ですね。  2019年、発行が初版は1995年に偕成社より刊行されています。  1994年9月に息子さんの雄介さん(三歳)を突然なくされています。  この詩集は、生まれて以来、病気と闘ってきた、雄介さんへの「さまざまな思いを、あふれるままに詩という形で綴ったものでした。」と、語られています。  亡くなったあとに、綴られた詩もおさめられています。      「愛」  1991年9月   こどもがはじめて笑った日   ぼくの暗がりに    ひとすじの強いひかりがさしこんだ   生まれてはじめて見るような   澄んだあかるいひかり   その時   ぼくの手の中で   愛   という形のないものが   はじめて〈愛〉という形になった   そして   ぼくの〈愛〉はまだ病んでいる   病院の小さなベッドで   「苦しい」とか「痛い」とか   そんな簡単な言葉さえ   いまだ知らずに      「見えない手」 1994年3月   こともが生まれて初めて立ち上がる   お尻をうしろに突き出して   それから   よいしょ   というふうに   ゆっくりと手を床からはなして   よろよろと   最初の数步を歩む     何百万年か前   初めて二本の足で立ち上がったヒトが   そうしたように   手を前に差し出して   目の前の   いちばん近しいひとに向かって   進む   ぼくも   時には   そんなふうに手をのばしたくなってくる   誰かに向かって   よく晴れた朝   こどもといっしょに窓から遠くを眺めていると   うしろから    そっと支えてくれる手が   ぼくにも   あるように思われてきて     「紙ヒコーキ」 1994年11月   おまえのいなくなった部屋に   紙ヒコーキがひとつ落ちている   ぼくが催しでもらってきたもの   仕事か一段落したら   公園で飛ばしてやろうと思っていたが   その前に   おまえの方が空高く   いってしまった   休日のよく晴れた午後   外に出て   ひとり公園に行く   楽しげに親子連れが遊んでいる   ボールを蹴ったり   バドミントンをしたり   砂遊びをしたり………   ぼくは   持ってこなかった紙ヒコーキを手に持って   思いきり   空に向かって飛ばす   それは高く軌跡を描いて飛んでいく   おまえはよろこぶ    ぼくのとなりで   そうしていつまでも   ふたりでその跡を追っている   命の讃歌を謳え揚げる高階杞一さんですが、この詩集でも、生命の素晴らしさを讃えられています。  今でも雄介さんは、高階さんの詩の中で生き続けいます。涙無しには読まれない詩集ですね。

Posted byブクログ

2024/02/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

何度読んでも涙が出ます。心の底から溢れくるおもいを書いた詩を超える詩はないのではないか。小手先の技巧とかでなく、あふれくるもの。この詩集を読むといつもそう思う。

Posted byブクログ

2024/02/09

タイトルに惹かれてなんとなくで手に取った作品で泣いてしまった 「会社がしんどくて早く家に帰りたいサラリーマン(私…?)の話かな」と思っていたら、そんなことはなく… 息子と過ごした4年足らずの温かな日常を描いた作品 今は隣にいる大切な人でも、いつかは触れなくなる 1日を、一瞬を大...

タイトルに惹かれてなんとなくで手に取った作品で泣いてしまった 「会社がしんどくて早く家に帰りたいサラリーマン(私…?)の話かな」と思っていたら、そんなことはなく… 息子と過ごした4年足らずの温かな日常を描いた作品 今は隣にいる大切な人でも、いつかは触れなくなる 1日を、一瞬を大切にしようと思えた

Posted byブクログ

2023/04/03

軽い気持ちで読み始めたこの詩集。 最初から最後まで、ずっとま涙が止まりませんでした。 詩は苦手で、読んでも意味が分からなかったり、ちゃんと意味が汲み取れないことが多かったけれど、これは全部が理解できた。というか、ストレートに自分の心の深いところまで入ってきました。 難病の我が子へ...

軽い気持ちで読み始めたこの詩集。 最初から最後まで、ずっとま涙が止まりませんでした。 詩は苦手で、読んでも意味が分からなかったり、ちゃんと意味が汲み取れないことが多かったけれど、これは全部が理解できた。というか、ストレートに自分の心の深いところまで入ってきました。 難病の我が子へのあふれ出す思い、愛しさ、悲しみ、寂しさが刺さるほどにしみていきました。 詩のようにこんなに短い言葉でこんなに心が揺さぶられるなんて。 幼くして亡くす我が子への思いが詰まっていて、本当に泣けました。 そして子供と過ごす時間がいかにかけがえのないものか、ということも考えさせられました。

Posted byブクログ

2020/09/06

短い言葉に亡くなったお子さんへの思いがつまっています。子供と今を生きられることを大切にしようと思わせてくれる一冊。

Posted byブクログ