1,800円以上の注文で送料無料

科学と非科学 の商品レビュー

3.4

15件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2019/08/20

日本の高等教育が危機に瀕しているということを、行政はどれほど実感しているのだろうか。筆者が繰り返し訴えていることは、このままでは日本の高等教育は死に絶えてしまうということである。高等教育が研究の自由選択と多様性を維持できるよう担保することこそ、行政がやらねばならぬことなのに。 本...

日本の高等教育が危機に瀕しているということを、行政はどれほど実感しているのだろうか。筆者が繰り返し訴えていることは、このままでは日本の高等教育は死に絶えてしまうということである。高等教育が研究の自由選択と多様性を維持できるよう担保することこそ、行政がやらねばならぬことなのに。 本の題名についての最も端的な「物語」は、エピローグに集約されている。まだまだ「闇」は残されているのだ。

Posted byブクログ

2019/08/15

科学的な「姿勢」と現代科学の限界について。複雑性を扱う新たな学問を学ぶ人は読むといいかも。前半は得るものが多かったが、後半部分は著者の思想が多分に含まれているので、肩の力を抜いてエッセイとして読むのが良い。

Posted byブクログ

2019/06/11

タイトルは少し仰々しく感じるが、いざ開いてみると中は科学とも科学ではないとも言い切れない、ほどよく曖昧でほどよく肩の力の抜けたなエッセイ、といった雰囲気の本だ。 同じく科学系の新書で福岡伸一先生の「動的平衡」「生物と無生物のあいだ」と比べても、そこまで専門的な話に踏み込まない。し...

タイトルは少し仰々しく感じるが、いざ開いてみると中は科学とも科学ではないとも言い切れない、ほどよく曖昧でほどよく肩の力の抜けたなエッセイ、といった雰囲気の本だ。 同じく科学系の新書で福岡伸一先生の「動的平衡」「生物と無生物のあいだ」と比べても、そこまで専門的な話に踏み込まない。したがって、サラサラっと読める。肩肘張らず、科学と科学じゃないものの間をふわふわとさまようこの本の雰囲気によくあった読みやすさだと思う。 ちなみに、私は、第十三話やエピローグがお気に入りだ。

Posted byブクログ

2019/05/10

中屋敷均(1964年~)は、神戸大学大学院教授で、植物・菌類ウイルス研究を専門とする分子生物学者。 本書は、講談社のPR誌「本」に2018年1~12月に連載された「科学と非科学~その間にあるもの」をもとに、再構成・加筆修正されたもの。 内容は、著者によれば、学術書では書くことが難...

中屋敷均(1964年~)は、神戸大学大学院教授で、植物・菌類ウイルス研究を専門とする分子生物学者。 本書は、講談社のPR誌「本」に2018年1~12月に連載された「科学と非科学~その間にあるもの」をもとに、再構成・加筆修正されたもの。 内容は、著者によれば、学術書では書くことが難しい、「科学と非科学のはざま、言うならば、「光」と「闇」の間にある、様々な「薄闇」に焦点を当て」て、著書の思いをエッセイ風に綴ったものである。 第一部では、「科学的」とは何なのか? 「科学」が立っている基盤とはどういうものか? 現代社会において「科学」に求められていることは何なのか? 「科学」に100%の信頼性を求めることはできるのか? 「科学」に限界はないのか? 「科学的」であることと「非科学的」であることの境界線は何か? 等について、具体的な事象を挙げつつ語り、第二部では、不確かな「科学」とどのように向き合うべきなのかについて、昨今の問題を交えて綴っている。 その中で、私の印象に残ったのは以下のような記述である。 ◆「科学が教えるところは、すべて修正される可能性がある。・・・科学の知見が常に不完全であるということは、ある意味、科学という体系が持つ構造的な宿命であり、絶え間ない修正により、少しずつより強靭で真実の法則に近い仮説ができ上がってくるが、それでもそれらは100%の正しさを保証しない。より正確に言えば、もし100%正しいところまで修正されていたとしても、それを完全な100%、つまり科学として「それで終わり」と判定するようなプロセスが体系の中に用意されていない。」 ◆「「分ってしまった」世界に、人の選択の余地はない。・・・分かるとも分からないともつかない「薄闇」のような世界だからこそ、人間の知性や決断に意味が生まれ、・・・いろんな「形」、多様性が花開く世界となるのだ。それは神の摂理のような“真実の世界”と、混沌が支配する“無明の世界”とのはざまにある場所であり、また「科学」と、まだ科学が把握できていない「非科学」のはざま、と言い換えることができる空間でもある。」 ◆「「意志ある選択」。科学はそれを人から奪うためでなく、与えるために存在する。不確かさも含め、科学的知見は常に「考える素材」である。それが科学の存在意義であり、その「選択」こそが、私たちに与えられた、世界を拓く力、生きる意味、なのではないだろうか。」 科学とは何か、我々は科学とどのように向き合うべきなのか、を考える一助となる一冊と思う。 (2019年4月了)

Posted byブクログ

2019/03/17

科学についてしっかりと解説しながらも、著者自身の「想い」をのせたエッセイ。 後半に行くほど著者の持ち味がにじみ出てきて良かった。 面白かったです。

Posted byブクログ