超訳 モンテーニュ 中庸の教え の商品レビュー
「揺れる」という表現に目が留まる。偏らず、定まらず、自然に変化していく。タイトルの「中庸」がとてもしっくりくる。読み返した時にそのときの関心ごとによってひっかかる言葉が変わってくるが、最後は芯の部分である「中庸」に戻ってくるととも感じる。視点は多岐に渡るがどの言葉にも一貫性がある...
「揺れる」という表現に目が留まる。偏らず、定まらず、自然に変化していく。タイトルの「中庸」がとてもしっくりくる。読み返した時にそのときの関心ごとによってひっかかる言葉が変わってくるが、最後は芯の部分である「中庸」に戻ってくるととも感じる。視点は多岐に渡るがどの言葉にも一貫性がある。原著である「エセー」も手に取ってみようと思えた。
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自信のない自分、弱い自分、うまくいかない自分。人生はそんなもんだと、人間はそんなもんだと教えてくれる。20代の自分が読むと、そんな気張らずに生きていけばいいよって言われているみたい。傲るな、謙虚に生きろみたいなメッセージも多かったかな。常に競争社会に晒される環境で、経験も少ないか...
自信のない自分、弱い自分、うまくいかない自分。人生はそんなもんだと、人間はそんなもんだと教えてくれる。20代の自分が読むと、そんな気張らずに生きていけばいいよって言われているみたい。傲るな、謙虚に生きろみたいなメッセージも多かったかな。常に競争社会に晒される環境で、経験も少ないから失敗すること、うまくいかないことも多いけど、焦らず、それでいいんだと。 ・欠点は恥にならない。取り繕うことが恥になるんだ。 ・自分の思考がいくらみすぼらしく見えても、それが自分が生み出したもので自分が信じていなきゃ。 ・ありのままなんてない。不確かな自分に気づくだけでいい。 ・自分を邪魔するのは自分自身。自分を突き放しているだけ。 ・自分を完璧にしなくていい。そんなことではいつか必ず借り物で勝負することになってしまうから。 ・自分の性格を決定づけては、多様なものに対応できなくなる。 ・思想は有益で快適であればいい。苦痛を伴って知る知識などいらない。 ・旅のように生きていこう。1日づつ、無理なく進もう、目標に到達する人生って味わい深いものだろうか? ・自分に必要なのは自分自身だけ。肩書き、名声、収入などなど欲しいものがあるかもしれんけど、自分の人生に必要なのは自分自身だけ。足りないものなんて一つもない。どんな人生にだって欠けているものなどない。 ・やむおえずやるな。自分で引いた線に強制させるのはもったいない。あらかじめ決められたコースをたどる人生は楽しいか?目的地を外れたって快適に過ごせる場所はどこにでもある。 ・他人の知識なんかで生きていくな。自分の経験と知識で生きていけ。それが生きていくこと。 ・本は無学の人間を無関心から引き揚げてくれる。 ・不幸など存在しない。自分のあり方に、他の誰かが作り出した価値を貼り付けてしまうから満足がいかなくなる。不幸だと感じるのは自分自身が価値は解説を勝手に付加しているだけ。 ・見返りという打算を超えたところに幸福はある。死者には見返りを期待しないはず。生きている人より死んでいる人に心を尽くせば幸福がわかる ・不幸を不幸と思えないように、しなやかさ、たくましさを持って対処しよう。不幸に対して情念をもつと自分を歪めてしまう。 ・幸福になる法則などない。幸福とはなるもの。 ・本当の快楽とは誠実さが作る刹那的なもの。欲望の果ての人為的に作られたものではない。 ・他人のあり方を改めようとしてはいけない、意見を言うのはいいが、矯正しようとしてはいけない ・有り余ったものをばらまいてもそれは価値のない行い。 ・判断とは正しい答えを出すことではない、試み続けること。正しいかは踏み出してからわかるから。 ・判断は広く見ることではなく、深く見ることで可能になる。 ・選択肢どれもに確からしい理由が生まれることがある。その時無理に動く必要はない。ちょうどいいタイミングが背中を押すまでまっていい。 ・哲学を通して自分の品格や地位が上がっていくなんて思いあがるな。階段の一番低いところに確実なものがあると哲学は言っているのに。もっと高貴な人は最も低い階層にいる人。彼らは単純さと言う規律を正しく守って正しく交際している。 ・人には真の価値はわからない。価値あるものを買うのではなく、買値が価値を決めている。
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僕にとって初の超訳シリーズ本を読んだ。モンテーニュという御仁は、フランス・モラリスト文学の礎(いしずえ)を築いたばかりでなく、後代のフランス文学、ヨーロッパ文学に深い影響を及ぼしたとされているらしい。本書の中で度々出てくる、自分というものは揺れ動くものなんだ、というのは実感を以て理解できるし、その時その時で変わる部分はあると思っている。定まらない自分というのは、それで良いのであるというアドバイスは、どこか肩の力を抜く心地になれる。また、無常、儚さ、といった事柄が登場し、割と東洋思想にも馴染む考え方だと思え、強ばることなく読めてしまう。原著にあたるエセーも読んでみたいな、と思えるものだった。
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