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他人のセックスを見ながら考えた の商品レビュー

4.2

12件のお客様レビュー

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2023/11/03

『男しか行けない場所に女が行ってきました』(2015年刊)を文庫化にあたり改題。 簡単に言うと、著者が男性向け性風俗産業のライターの仕事を通して考えたことを書いたエッセイ。 ……と、これだけ書くとイロモノ感がハンパないと思うのだが、どうにもそれだけでは収まらないものがある。 とい...

『男しか行けない場所に女が行ってきました』(2015年刊)を文庫化にあたり改題。 簡単に言うと、著者が男性向け性風俗産業のライターの仕事を通して考えたことを書いたエッセイ。 ……と、これだけ書くとイロモノ感がハンパないと思うのだが、どうにもそれだけでは収まらないものがある。 というか、著者の考えに圧倒される本なのだ。 安易なフェミニスト本ではなく、正義感ぶった社会派ルポルタージュでもない。 赤裸々で下世話な話といえばそうかもしれないが、私たち女性がずっとモヤモヤし続けながらも目を背けてきたことを、ものすごい文才で言語化している。 最近たて続けに何冊か著者の本を読んだが、マンガよりエッセイの方が圧倒的に向いているような気がする。

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2023/10/08

改めてグロテスクさというか、男女の偏りを強く感じる本だった。無意識のうちに男だから仕方ないと考えてしまう自分を恥じた。男社会は見たいものだけを見て、聞きたくないことは耳をふさぐというスタンスでここまで来てしまっていると考える。その分の不快さを女性に押し付けてしまっているのではない...

改めてグロテスクさというか、男女の偏りを強く感じる本だった。無意識のうちに男だから仕方ないと考えてしまう自分を恥じた。男社会は見たいものだけを見て、聞きたくないことは耳をふさぐというスタンスでここまで来てしまっていると考える。その分の不快さを女性に押し付けてしまっているのではないか、と。 とあるテレビ番組について述べられた部分で、差別というのは、社会規範をきちんと身に着けた人が、その社会のコードに従って行うものという話を思い出した。男社会、むしろ日本社会の優等生であればあるほど、無意識に差別をして、差別をしたことにすら気がつかないのだと思う。 少しづつ、少しづつよくなっていけばいいと思う。急に変わるのはバックラッシュが大きいから、ゆっくりと。じわじわと。不可逆的に変わっていく必要があるのだと思う。男性が好きなことを言えないとか、生きづらくなったとかいう主張には、それぐらいでちょうどいいんだ、いままで甘やかされすぎたんだと言いたい。そんなことを考える本だった。

Posted byブクログ

2023/06/23

田房永子さんが関わってきたエロ業界の話。「私はしずかちゃんになりたかったからエロ業界に入った」って言うのめちゃくちゃ分かるな… 私はどちらかというと気にせず男性の下ネタトークに混ぜて欲しかったタイプなので、田房さんの気持ちがものすごく分かる。 しかし村西とおるは群を抜いてすごいと...

田房永子さんが関わってきたエロ業界の話。「私はしずかちゃんになりたかったからエロ業界に入った」って言うのめちゃくちゃ分かるな… 私はどちらかというと気にせず男性の下ネタトークに混ぜて欲しかったタイプなので、田房さんの気持ちがものすごく分かる。 しかし村西とおるは群を抜いてすごいというか、次元が違う。

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2020/08/29

女性目線での男向け風俗。様々な嗜好、年齢に向けた男向きの風俗は、いろいろな業態でバラエティーに富む。それを女性が客となり、取材したり。その時のサービスする側の女性の心理にも迫り、なかなか面白い仕上がりでしょう。でも、再読はないかな。

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2021/01/05

読むドラッグ『男しか行けない場所に女が行ってきました』の文庫化。いろいろ勝手だったり混乱しているところもあるけど、そういうのもこの先生の魅力なのだろう。

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2019/08/17

タイトルがちょっと過激だけどいたって真面目な内容。真面目でおかしく、鋭いツッコミ、深い考察、虚しさ、みたいなものを感じる。単行本のタイトルは『男しか行けない場所に女が行ってきました』。文庫版のタイトルだと読んだことをオープンにしづらいので前のほうが良かったな。内容的にも前の方が合...

タイトルがちょっと過激だけどいたって真面目な内容。真面目でおかしく、鋭いツッコミ、深い考察、虚しさ、みたいなものを感じる。単行本のタイトルは『男しか行けない場所に女が行ってきました』。文庫版のタイトルだと読んだことをオープンにしづらいので前のほうが良かったな。内容的にも前の方が合っていたんじゃないかなと思う。この手の産業全般が、身勝手な男の夢も上に成り立っているという指摘にそうだよなあと大きく頷いた。荒木飛呂彦『ホラー映画論』にあった「ガス抜き」と同じようなことかもしれないけれど、映画と違ってこちらは生身の人間が対処していることなので肯定はしづらい。社会の闇の部分とでも言うのだろうか。田房さんのエッセイは引き続き読んでみたい。

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2019/07/30

セックス産業がどんなものかなかなか知る機会がないので、ブラックボックスのなかを明かしたような気持ち。知ることによって、男性に対する嫌悪感が増すことが少し心配だったが、全くそんなことはなかった。そういう書かれ方をしていないからだと思う。コミカルな文章に笑える部分すらあった。最後には...

セックス産業がどんなものかなかなか知る機会がないので、ブラックボックスのなかを明かしたような気持ち。知ることによって、男性に対する嫌悪感が増すことが少し心配だったが、全くそんなことはなかった。そういう書かれ方をしていないからだと思う。コミカルな文章に笑える部分すらあった。最後にはしっかりジェンダー論に発展させられている。あとがきは「女たちは男たちは、自由になれているのだろうか」で結ばれている。女性が感じている違和感をこうして明るみに出していくことで、女性も男性も自由になるための道が見えてくるのではないかと思う。

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2019/07/01

面白いです。最初のうちは、セックス産業潜入レポで、女性がやってる面白さが際立っているが、そろそろネタ切れかなって感じさせるあたりから、筆者の意見が色濃くなってくる。最後には壮大なジェンダー論になっており、深く考えさせられる一冊。セックス産業という男女の一面を、深く観察した筆者が書...

面白いです。最初のうちは、セックス産業潜入レポで、女性がやってる面白さが際立っているが、そろそろネタ切れかなって感じさせるあたりから、筆者の意見が色濃くなってくる。最後には壮大なジェンダー論になっており、深く考えさせられる一冊。セックス産業という男女の一面を、深く観察した筆者が書いたジェンダー論は必見。

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2019/06/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

単行本『男しか行けない場所に女が行ってきました』を読んでいたので、加筆部分だけサラッと読むつもりが、結局全部再読してしまった。 文庫版のまえがき・あとがきを読むと、単行本の刊行から4年でジェンダーに関する世の中の認識が大きく変わったと実感した。

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2019/05/02

エロ本の女性ライターが取材した性産業の現場、消費者の男性、働き手の女性を通してセックスとジェンダーとを考えた本。 性的欲望を肯定されやすい男性と肯定されにくい女性との間の断絶が男女のより良い関係を損なう可能性に言及しつつ、性産業に働く女性を尊敬しつつ「よくこんなことができるな」と...

エロ本の女性ライターが取材した性産業の現場、消費者の男性、働き手の女性を通してセックスとジェンダーとを考えた本。 性的欲望を肯定されやすい男性と肯定されにくい女性との間の断絶が男女のより良い関係を損なう可能性に言及しつつ、性産業に働く女性を尊敬しつつ「よくこんなことができるな」とどこか軽蔑してしまっている自分の素直な感慨もごまかすことなく書かれている。そういった自己批判をも展開している点が単なる男性批判のフェミ本に至らしめていない決定的な点。 男性も女性も、読んで"考える"ことが大切。

Posted byブクログ