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乳母の文化史 の商品レビュー

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2020/08/11

19世紀イギリスでの乳母について解説した本。他の時代・地域については、ほとんど言及は無い。狭い範囲を深堀りするタイプの本。 この時代だと、基本的に授乳は自ら行ったほうがいいと考えられている。乳は血液から作られているため、乳母を雇うということは下賤な血を我が子に与えると同義である...

19世紀イギリスでの乳母について解説した本。他の時代・地域については、ほとんど言及は無い。狭い範囲を深堀りするタイプの本。 この時代だと、基本的に授乳は自ら行ったほうがいいと考えられている。乳は血液から作られているため、乳母を雇うということは下賤な血を我が子に与えると同義であると考えられていたからだ。しかし現実はそう単純ではない。体質や病で自ら与えたくても与えられない人や、体型が崩れることを嫌って与えない人がいる。しかし、粉ミルクが無い時代、赤子を育てるには乳を与えるのが最善だ。なので乳母の需要はまだあったわけである。 この乳母という職で一番問題となるのが、乳母の実子の扱いだ。乳の出る乳母には当然赤子がいる。しかし乳母の乳を雇い主の子に与えるならば、乳母の子はどうなるのか。乳を奪われた子は当然死ぬ。この時代の乳母は住み込みが基本であり、子供を連れてくることはまずできない。なので乳を与えられず栄養不足となった乳母の子は死ぬのだ。乳母というシステムは、臓器売買に近いのかもしれない。それも生きている人から取り出すような。

Posted byブクログ