ペニスカッター の商品レビュー
性別適合手術について知りたくて借りてきた。 性別適合手術は術後に身の回りの面倒を見てくれる人がいたほうが良くて、身の回りの面倒を見てくれるサービスを提供する会社もあるけれど、実際には具体的に何をするんだろう?そしてそういったケアが必要な期間はどれくらい?という知りたかった疑問に...
性別適合手術について知りたくて借りてきた。 性別適合手術は術後に身の回りの面倒を見てくれる人がいたほうが良くて、身の回りの面倒を見てくれるサービスを提供する会社もあるけれど、実際には具体的に何をするんだろう?そしてそういったケアが必要な期間はどれくらい?という知りたかった疑問に答えてくれる本ではなかったけれど、前々から知りたいと思っていた医師についての本にたどり着けたのは良かった。 性同一性障害者特例法が制定されたのは2003年で、施行されたのが一年後の2004年だった。 2002年の医療事故について、わだ形成クリニックの関係者に対する取り調べがはじまり、「業務上過失致死」という結論ありきで警察が動き出したのは2005年。 「周縁にいるべき日陰者の変態」だと思われていたトランスジェンダーたちが日本の法律に記載された、つまり「トランスジェンダーはその権利を守られるべき社会の一員であり、この社会はシスジェンダーだけのものではなく、トランスジェンダーをも含めた人々が生きていけるようにしていく必要がある」のだと、当事者によって日本が公式に認めた第一歩が性同一性障害特例法だったと思う。 社会学の用語にバックラッシュというものがある。社会の中でマイノリティの地位向上や平等の推進に関する大きな動きがあると、必ずそれに対する反発の動きが起こり、時にマイノリティ当事者やその支援者がマジョリティによって攻撃を受けることもある。 社会が多様性に対して寛容になった分、バックラッシュという反発の動きが起こるので、警戒しなければならない。 警察が和田医師を執拗に業務上過失致死罪に問おうとしたのは、トランスジェンダーに対するバックラッシュだったのではないか? この人は吹き荒れる差別の嵐の中で孤軍奮闘して、そして自殺するまで追い詰められてしまったんだろう。差別は心を粉々にして、自分を無価値に感じさせて、生きる気力を奪うから。
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形成外科医 和田耕治さんのノンフィクションです。著者は和田医師の元奥様です。 読み物としては、少々読みにくいと感じました。理由は和田医師のブログを引用している部分と著者が書いている部分が分かりにくかったり、文末が バラバラだったり、同じ文章が繰り返し出てくるから。(作家さんじゃないからしょうがないとも思います...) その国内性転換手術の第一人者が、今回の主人公 和田医師です。ある患者(みんなが知ってる元祖ニューハーフアイドルの方)から「除睾手術」を依頼されたことがきっかけで性転換手術を始めます。 作中に数回「たとえ罰せられても医師として覚悟の上。国や法律ができる前から医療は存在してるんだ。」という言葉が出てくるのですが、この言葉を目にしたときに、とても危ういというか不安な気持ちになりました。 とても強い信念と覚悟だとは感じたのですが、同時にとても強い孤独を感じました。あまりにまっすぐな言葉が故の危うさというか...そういうのを感じました。 そんな私が感じた不安は的中し、2件の死亡事故を起こし(うち1件は1年半後に示談が成立)人生が変わっていきます。 死亡事故による誹謗中傷や裁判、激務が重なり孤独の中で心身共に疲弊していく様子、いくら信念があろうとも弁護士を立てるべきという助言も含め、誰か彼を助け支えてくれる人はいなかったのか...?と悲しくなりました。 現在では性同一性障害の認知度も上がり、国立大学病院でも性別適合手術を行っているそうです。その陰には、こういった第一人者のご苦労や犠牲があったんだなぁと思いました。 できれば和田医師本人の言葉で書かれた本が読みたかったです。ただ、もうそれはかなわないのだけれど...
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亡くなった夫について、妻が書いたもの。家族の自慢話を延々と聞かされているような気持ちになる本だった。 和田耕治さんのしてきたことはすごいことだと思うので、プロのノンフィクション作家の方に書いてほしかったなと思う。
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