東大塾 これからの日本の人口と社会 の商品レビュー
東大が主催する社会人向け連続講義であるグレーター東大塾『人口と社会―持続可能な成長型高齢社会をめざして』を書籍化したもの。人口を社会という観点から、規模(都市、地域、外国人)、制度(雇用、社会保障)、場(職場、家族、病院・医療)という3つの柱を立てて議論し、これから着実にやってく...
東大が主催する社会人向け連続講義であるグレーター東大塾『人口と社会―持続可能な成長型高齢社会をめざして』を書籍化したもの。人口を社会という観点から、規模(都市、地域、外国人)、制度(雇用、社会保障)、場(職場、家族、病院・医療)という3つの柱を立てて議論し、これから着実にやってくる人口減社会、超高齢社会をできるだけ積極的に位置づけようとしている。 一流の講師陣が様々な角度から「人口と社会」について切り込んでおり、読み応えがあった。また、質疑応答もかなり忠実に再現されており、実際に講義を受けているかのような臨場感があった。 人口の変動を世界史的観点から読み解き、少子化の原因の一つとして家族制度を指摘する鬼頭宏氏の「第1講 歴史と人口―歴史人口学からみる人口減少社会」、若者支援活動に実際に身を置く立場からのリアルな指摘が多いと感じた工藤啓氏の「第6講 若者支援―人口減少社会における若者支援のあり方」、移民政策を俯瞰的に解説する上林千恵子氏の「第7講 移民政策―人口減少社会における移民政策と日本の将来」、現在の社会保障制度の問題点と今後の方向性について的確に解説している吉川洋氏の「第8講 社会保障―超高齢社会の社会保障制度」、実際に在宅医療等に取り組んでいる立場からの日本の医療についての本質的で示唆的な指摘が多いと感じた武藤真祐氏の「第9講 医療―日本とシンガポールにおける在宅医療と遠隔医療の展開」といった内容が、特に興味深かった。
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これだけ複数の社会学者等が集まっても超高齢社会に対する統一的な処方箋は得られない。 編者の言う「お互い様」は、個々の様々な要求が多様化しながら強まっている世の中で、社会を維持するための、生活の知恵であると思う。税金や年金、保険などはお互い様の制度だ。 社会の制度を抜きにした...
これだけ複数の社会学者等が集まっても超高齢社会に対する統一的な処方箋は得られない。 編者の言う「お互い様」は、個々の様々な要求が多様化しながら強まっている世の中で、社会を維持するための、生活の知恵であると思う。税金や年金、保険などはお互い様の制度だ。 社会の制度を抜きにした「お互い様」の実践、飲食店の店主がお互いの店に顔を出す、こんな感じで世の中が回っていくのも悪くないと思う。
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