ラファエッロの秘密 の商品レビュー
成功、さらなる成功へと、ラファエッロの歩みは止まらない。 美しいものを描くためには、より美しいものを見なければならない。 それがないなら彼は自らの想像力でそれを創る。 ラファエッロの造形への哲学。 美しい、は人により違うけど、その美しいと思えるものがより質よく現れたものは...
成功、さらなる成功へと、ラファエッロの歩みは止まらない。 美しいものを描くためには、より美しいものを見なければならない。 それがないなら彼は自らの想像力でそれを創る。 ラファエッロの造形への哲学。 美しい、は人により違うけど、その美しいと思えるものがより質よく現れたものは、確かに美意識を刺激してくれると思う。
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ラファエッロの作品の新しさは、革新的な空間を生み出したことだけではない。たとえそれを生み出すことが、勝利を導く賭けとなる領域の一つであるにしてもだ。この傑作における彼の戦略は、より自然なポーズをとる作中人物の創作に集中することである。(p.57) ラファエッロは、師匠の作風をまねる際に、ある種の抜け目のなさを示している。伝えることは同じだが、新しい構造を作っているのだ。祭司は少し顔を固めけて中心軸から離れており、より自然な姿勢を取っている。彼こそが儀式に参加するすべての作中人物を円を描くような動きに導くのである。(p.58) 驚かされるのは、ラファエッロが下絵を単なる習作とは考えない点である。彼に取って自分が行なったことのすべては芸術作品の尊厳となりうるのだ。そのため、不要になった素描を利用して信じられないビジネスを起こす。「キリストの埋葬」の場合は、最初の習作の中から出来のいいものを選んで、当時のヨーロッパ美術市場で大きく成長していた、数多くの販売できる版画に変えるのである。(p.100)
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37歳で生涯を駆け抜けた絵画の天才,美男子で好人物,だけど秘密がいっぱい.最後の枢機卿になりたかった云々は独身だった理由にも整合する.作品解説も詳しくて非常に興味深かった.
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ダビンチ:1452年4月15日 - 1519年5月2日、ミケランジェロ:1475年3月6日 - 1564年2月18日、ラファエッロ:1483年4月6日 - 1520年4月6日 ラファエッロは、ダビンチとミケランジェロの真髄を全て体得してその上で独自の芸術を完成させたと著者は説く。...
ダビンチ:1452年4月15日 - 1519年5月2日、ミケランジェロ:1475年3月6日 - 1564年2月18日、ラファエッロ:1483年4月6日 - 1520年4月6日 ラファエッロは、ダビンチとミケランジェロの真髄を全て体得してその上で独自の芸術を完成させたと著者は説く。死んだ日は、37歳の自分の誕生日であった。若い短い人生だったが、多くの数の傑作を残していった。この本ではそれらの「秘密」についてわかりやすく解説してくれている。ただし、イタリアの歴史やキリスト教の内容などに疎い日本人にとっては分かりにくいことが多いのもまた真実だけど。 ラファエッロの絵画様式がその後の数世紀に渡り西洋絵画の古典の手本となったことを知ることも重要(奇しくも今、三菱一号館美術館で「"ラファエル前派"の軌跡展」と銘打った展覧会が開催中) また、彼自信は美男子で性格が良く誰からも好かれ、巨万の富を得る才覚を備えてもいた。教皇を始めとする時代の知識人たちとも交流する洗練された知識をも持っていた。そして、また絶世の美女と愛を交わす才を天から与えられてもいた(そのことが彼の人生を37才という油の乗り切った年齢で終焉を迎えさせたとも)
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