原節子の真実 の商品レビュー
哀しい大女優の真実…。
湘南エリアに住む者達にとって、「原節子って鎌倉の〇〇の辺りに住んでるんだってさ…」という噂話は、「誰とも会わない」という話と共に必ず一度は聞く話なんですが、、、 それにしても、これ程の苦難の女優人生だったとは…、全く知りませんでした。 「世間の噂」と云うものの浅薄さや、プ...
湘南エリアに住む者達にとって、「原節子って鎌倉の〇〇の辺りに住んでるんだってさ…」という噂話は、「誰とも会わない」という話と共に必ず一度は聞く話なんですが、、、 それにしても、これ程の苦難の女優人生だったとは…、全く知りませんでした。 「世間の噂」と云うものの浅薄さや、プライベートもお構い無しに土足で踏み込んでくるメディアの、今も変わらぬ無神経さを、つくづく痛感しました。 数年前にお亡くなりになったことは存じていましたが、最後まで健やかで聡明なままで過ごされた事を知り、胸を撫で下ろす思いがしました。 それにしても〇さんの「原さんから数珠を貰った…」って話は、全くのデマだったんですね。あの交通事故の直後だったから、今まで信じていました…ww。
左衛門佐
まず小津安二郎に対する冷めたコメントに驚いた。確かに出演は六作、主演は三作であり短くはない彼女のキャリアの中で特別視するほどの監督ではなかったのかもしれない。 また、彼女の引退への道筋がよくわかった。色々な要素があり、古い話しでもあり、何が真実かは言えない話しだが、当書に書かれて...
まず小津安二郎に対する冷めたコメントに驚いた。確かに出演は六作、主演は三作であり短くはない彼女のキャリアの中で特別視するほどの監督ではなかったのかもしれない。 また、彼女の引退への道筋がよくわかった。色々な要素があり、古い話しでもあり、何が真実かは言えない話しだが、当書に書かれている内容が決定版であるように思えた。 義兄との関係は謎。 そして思っていた以上に彼女の半生に影を感じた。
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原節子さんの映画を見たことがなく、名前を知っている程度でしたが、引き込まれました。戦前戦後の日本の雰囲気を感じ取ることもできました。 最後の原節子さんの書いた文章、ヤマザキマリさんの解説もとても良かったです。
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ノンフィクション作家の業のようなものを感じる。当人と会ったこともない人が良くぞここまで対象を掘り下げることに感嘆する。 あの小池百合子を描いた「女帝」が面白くまた本当に内容を信じられるか微妙なところもあったので同じ作家の別の作品として本書を読んでみた。 日本映画史上に残る女優...
ノンフィクション作家の業のようなものを感じる。当人と会ったこともない人が良くぞここまで対象を掘り下げることに感嘆する。 あの小池百合子を描いた「女帝」が面白くまた本当に内容を信じられるか微妙なところもあったので同じ作家の別の作品として本書を読んでみた。 日本映画史上に残る女優原節子。40を過ぎて突然の引退。謎の多い生涯。雑誌、新聞記事から生涯を推測していく。人気女優でありながら実は映画界が嫌いであったというところ。代表作とされる小津安二郎の作品を当人は気に入らなかったところなど新鮮な内容が多かった。 ずっと過去の膨大な資料を探し出す作家の力量はおそろしいほど。執念のようなものを感じる。 ノンフィクション作家としての松本清張に匹敵する作家と言っても過言ではないように思えた。
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たくさんのものを背負い、たくさんのものを失いながら、生きたかたなのですね。映画の中の姿からはとても想像が及ばないほど。 女性としてこれ以上言葉になりません。
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原節子さんは これまでは 私の中では胸の大きい 歩き方がおしとやかじゃない女優さんというだけであった どんなに顔が綺麗でも歩き方が気になって私の中では美人ではなかった 本書における原節子さんの内面は どんなノンフィクションでもそうだが ようは筆者の意見である それはそれでよく 引...
原節子さんは これまでは 私の中では胸の大きい 歩き方がおしとやかじゃない女優さんというだけであった どんなに顔が綺麗でも歩き方が気になって私の中では美人ではなかった 本書における原節子さんの内面は どんなノンフィクションでもそうだが ようは筆者の意見である それはそれでよく 引き込ませ読ませる意見だった 私の心に一番残ったところは 「この戦争には勝たなくてはいけない」と原節子さんが思ったというところでした 自分で考え生きたのだということが伝わって来て感動した そういう気持ちを持ってこれから観返す原節子さんは どういう女優さんであったと自分は思うのであろうか そういう意味で本として 作品として 本書は読む者に届いて来るものを持っていた いいなと思う 筆者もたくさん思い考えた そのことがあふれ出している本だった 読む者もたくさん考え たくさん思い たくさん感じる 読書なのであった 読んだ人は次に向かって動くのだから
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最近のゆとり世代は原節子の写真を見ても恐らく誰かは分からないのであろう。全く嘆かわしい。原節子の写真を見てぱっと誰かを認識できないような人間は、リベラルアーツの欠片もないということであり、「(とても)若き老害」、「中道左派の保守主義者」を自称する私としては、文科省の教育プログラム...
最近のゆとり世代は原節子の写真を見ても恐らく誰かは分からないのであろう。全く嘆かわしい。原節子の写真を見てぱっと誰かを認識できないような人間は、リベラルアーツの欠片もないということであり、「(とても)若き老害」、「中道左派の保守主義者」を自称する私としては、文科省の教育プログラムの再考を促したいところである。 さて、国民的女優として銀幕を舞台に活躍しながらも、42歳で引退した後、半世紀もの間、沈黙を貫いた名女優、原節子。本書は、第15回新潮ノンフィクション賞を受賞した、原節子の生涯を巡るノンフィクションであり、女優という仕事に対するプロフェッショナリズムの高さを痛感できる一冊である。 本書を知って認識を新たにしたのは、日本においてはかつては女優という仕事が、低俗なものとみなされていた時期があった、ということである。そうした世間の風を背後に、ひたすらに自らの演技の質の向上だけを考えて生きたように見える彼女の姿は、現代においても珍しいほどストイックな印象を与える。それは「女優は恋愛・結婚すれば演技が磨かれるはずだ」という世間の批判に対する「じゃあ人殺しの役は人殺しにしかできないの?」という反論にも、端的に表れている。 改めて小津安二郎の「東京物語」における彼女の美しい姿を見てみたいと思う。
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