夢も見ずに眠った。 の商品レビュー
島田潤一郎さん著『電車の中で本を読む』 その中で紹介されていた一冊。 婿養子の高之は、札幌で単身赴任している妻・沙和子の実家に義両親と暮らす。 多少の気まずさはあっても そこは養ってもらっている手前、仕方のないこと。 距離が離れた分、気持ちもすれ違っていく。 最後に2人が巡る...
島田潤一郎さん著『電車の中で本を読む』 その中で紹介されていた一冊。 婿養子の高之は、札幌で単身赴任している妻・沙和子の実家に義両親と暮らす。 多少の気まずさはあっても そこは養ってもらっている手前、仕方のないこと。 距離が離れた分、気持ちもすれ違っていく。 最後に2人が巡る旅で感じた愛おしい気持ち。 それぞれ感じ方は違っているかもしれないが 綺麗事で終わらせることなく 全てにおいて正直に書かれていて良かった。 地理には疎く、関東の地名など頭の中で地図を描くことが難しい。 それでも、行ったことのない函館の夜景の美しさはわかる。 岡山にもいつか行ってみたい。
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高之と沙和子の12年間が静かに描かれている。二人の関係は形を変えていくけど、空気感は同じ。男女で、こういう関わり方で続いていくのもいいかもと思った。 旅先の描写で日本各地が登場するけど、訪れた場所もたくさん。 なかなかマニアックな名物料理もあったりして、密かに嬉しくなった。
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こんなにいい本だと思わなかった。感想が溢れる。 まず、わたし中国地方出身なのにおろち号のこと知らなかった!読了後、ネットで調べると昨秋に運行終了していることを知ってびっくり。。ラストランの動画を観て、山陰の温かい景色、柔らかい人々と今回の物語の最後の風景が結びついて不覚にも泣いてしまった。 また最終章が中国地方たっぷりなのは個人的に嬉しい。笑 芸備線や伯備線の接続の悪さ描写に共感し笑ったけど、そういえば芸備線も一部廃線の議論が進んでるなあと思い出し、おろち号の件も相まってなんというか、土地に根付いた、人々の生活や旅の足である電車がなくなるって寂しいなと初めて実感した。新聞で、利用者数などの数字と共に廃線説ニュースは見てたけど、あの時には感じなかった、手触りをもった寂しさ。小説で出てくると登場人物に感情移入してる(特にこの本は土地や人に思いを馳せて大事にするような登場人物やった)から同じニュースでも感じ方が違うと発見した。新聞を読んだ時は自分事として考えてなかったんやなと反省。(感想から話が逸れているごめんなさい) 途中、すれ違っていく描写は2人とも悪くないところがどうしようもなくて悲しかった。リアルだし、わたしの年齢的に余計くらったのかも。だから、最後こんなに明るく終わるんだ!という驚きもあった。大人になっても小さいつまらない嫉妬あるんだなとかは思ったけど笑(リアル)、こんなふうに別れた人を信頼できたりお互いに意地を張らずにいれるって良いなあとも思った。 最後のページで沙和子が思ったことの描写は、一言一句すべてが明快で真の言葉で、わたしにも素直に入ってきた。昨日と今日みたいに時間は繋がってるから人生は大きなひとつの流れだと思っていた(だから人生は暇つぶしみたいな気分でいた)けど、毎日一度きりの完結するエピソードで、そのばらばらな一瞬が大量にあるだけ。「もしも」もないしやり直しも利かない。わたしも空気も土地も全部、今今が尊い。 わたしが腑に落ちたことをここに書こうとすると随分当たり前で分かりにくい言葉になったけど笑、こんなふうに感じ入った。 主テーマは夫婦の関係性なんやろうけど、土地や人や、それらの温度や空気感を良く描写しているところが、わたしが良かったと思える最大のポイントやと思った。 あー良かったなあ。数年後にも読み直したい。 遠野、山陰旅もしてみたいな。
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妻は単身赴任、夫は鬱病を発症。夫婦のあり方や一個の人間としての意味とかそんな感じ。本筋にあまり関係ない部分も多く流し読みだった。ちょっと好みでは無かったかな。
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ああ、自然な会話ってこういうことだな、と思った。 旅行先で、ドライブの道の上で、ふたりで進行方向を見ながら、過ぎていく景色から、土地の名前を拾い上げて、そこに歴史を見て話題にする。 いろんな土地をめぐりながら、近づいたり離れたりする高之と沙和子。幸せでいてほしいなあと思ってしまう...
ああ、自然な会話ってこういうことだな、と思った。 旅行先で、ドライブの道の上で、ふたりで進行方向を見ながら、過ぎていく景色から、土地の名前を拾い上げて、そこに歴史を見て話題にする。 いろんな土地をめぐりながら、近づいたり離れたりする高之と沙和子。幸せでいてほしいなあと思ってしまう。
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沙和子と高之、一組の夫婦の1998年から2022年までの人生を岡山、琵琶湖、お台場、佃島、函館、行田、盛岡、遠野、青梅、横浜、奥出雲など様々な土地の風景と絡めながら描いた作品。 私の地元、富山県の総曲輪通りの大和やアーケード街、市電等も出て来て懐かしい思い出に浸りながら読み始め...
沙和子と高之、一組の夫婦の1998年から2022年までの人生を岡山、琵琶湖、お台場、佃島、函館、行田、盛岡、遠野、青梅、横浜、奥出雲など様々な土地の風景と絡めながら描いた作品。 私の地元、富山県の総曲輪通りの大和やアーケード街、市電等も出て来て懐かしい思い出に浸りながら読み始めた。 いわゆるデキる妻と、鬱を発症し社会生活を送れなくなった夫の結婚から離婚、再会までが丁寧な心理描写で綴られているが、緩やかに淡々と物語が進み、大きな盛り上がりはない。 私には味気ない読後感だったが、沁みる人には胸に響くものがあるのかも知れない。
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ある夫婦が長い年月をかけて関係性を変えていくお話。 読もうと思ったきっかけは最初が倉敷への旅行から始まっていて知っている土地の描写にちょっと惹かれたから。 あぁ、あるだろうな。と思うふたりの道は結構リアル。 青梅・札幌・岡山・横浜・・・結構知っている土地の描写が出てくるのでそれ...
ある夫婦が長い年月をかけて関係性を変えていくお話。 読もうと思ったきっかけは最初が倉敷への旅行から始まっていて知っている土地の描写にちょっと惹かれたから。 あぁ、あるだろうな。と思うふたりの道は結構リアル。 青梅・札幌・岡山・横浜・・・結構知っている土地の描写が出てくるのでそれも景色を想像しながら読みました。 そしてこのお話2022年の描写があるんだけど書かれたの事態は2017年とかだからコロナの描写はないのよね。 そこにもちょっと面白さを感じてしまった。 最後だけ妙に腹落ちしなかったんだけど全体を通してはいい作品だなと思う。
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なかなかうまくいかない男女の物語。熊谷も品川も岡山も青海も北海道も松江も全ての場所に行ったことある。よくわかる。限りなく、日本あちこち転勤や旅行に行ってきた成果。
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感想としては、可もなく不可もなく。とくに盛り上がりもなく 面白くて読むのが止まらないほどではないが、つまらなくもない。 旅が好きなので、旅気分で読めるところはとても良かった。銀行勤めの沙和子と定職を持たない高之。どちらが幸せで、とかそういう価値観が無意味であり、本人が生きている...
感想としては、可もなく不可もなく。とくに盛り上がりもなく 面白くて読むのが止まらないほどではないが、つまらなくもない。 旅が好きなので、旅気分で読めるところはとても良かった。銀行勤めの沙和子と定職を持たない高之。どちらが幸せで、とかそういう価値観が無意味であり、本人が生きていると思える充実感が真の幸せなのではないかと、思わせられた、
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※このレビューにはネタバレを含みます
縦軸に布施沙和子と婿養子高之の夫婦仲(途中から元夫婦仲)、横軸に土地(旅)。1998年11月(大学時代)から2022年6月までの12話。最後は、私がとても詳しい場所、島根県(松江や奥出雲)でしたw。同じひとと2回結婚する物語なのかもしれません。絲山秋子「夢も見ずに眠った。」、2019.1発行。
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