ドーキー古文書 の商品レビュー
興味本位で挑戦し、散々に打ちのめされた作品。 本書を理解するにあたり私の教養が圧倒的に足りていない。 くやしい。 オビの紹介文とタイトルから何となくSFっぽいドタバタ喜劇だと勝手に想像して読み始めたのだが、蓋を開けてみれば神学議論が縦横無尽に張り巡らされ、尚且つジェイムズ・ジ...
興味本位で挑戦し、散々に打ちのめされた作品。 本書を理解するにあたり私の教養が圧倒的に足りていない。 くやしい。 オビの紹介文とタイトルから何となくSFっぽいドタバタ喜劇だと勝手に想像して読み始めたのだが、蓋を開けてみれば神学議論が縦横無尽に張り巡らされ、尚且つジェイムズ・ジョイスを主とするアイルランド文学について最低限度の知識・見識を備えていないとこの作品には到底敵わない。 解説を読んでも同様であった。 そもそも一番わかりやすいであろう最後の一行でのメアリの言葉で何も感ぜられなかったのが痛恨。メアリとマリアって似てるのにね。 とりあえずジョイスの作品を読んでみようと思います。やはり『ユリシーズ』から行くのが良いんでしょうかね…。 ’アイルランド的’とは何ぞや、が理解できたらまた読み返したい作品。 フォトレル巡査部長のハチャメチャな「半人半自転車」(p137)論は結構好き。プラック巡査も大変だね。 1刷 2022.3.18
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ある日水泳場にて怪我をしている人物と出会う。なんとなく知り合いになり、その人の開発した装置を装着したのち、海に潜る。そして偉人(死人)と会話する、こういう話です。世界征服を企む人物を阻止しようとしたりもする。やっぱり街の巡査部長がヤバい。なんかね、長い間自転車乗ってると、だんだん...
ある日水泳場にて怪我をしている人物と出会う。なんとなく知り合いになり、その人の開発した装置を装着したのち、海に潜る。そして偉人(死人)と会話する、こういう話です。世界征服を企む人物を阻止しようとしたりもする。やっぱり街の巡査部長がヤバい。なんかね、長い間自転車乗ってると、だんだん自転車っぽくなってくるんだって。そうした世界崩壊を防ぐべく、部下の自転車のタイヤを計画的にパンクさせ、主人公の自転車は牢屋に入れ鍵かけてんの。うわー、アタシっぽい。こういう善意を楯にした迷惑行為はやっちゃだめだぞうー。
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「世界破壊による人類救済?」の帯文が上手い。 一般的なアイルランド人である主人公ミックが、ド・セルヴィとジョイスの奇人2人に振り回される話、のようなそうでもないような。とにかくどういう話なのか判断するのが難しい。 新訳ではなく再刊。 結局ミックがしたことは全て自己満足の世界で、...
「世界破壊による人類救済?」の帯文が上手い。 一般的なアイルランド人である主人公ミックが、ド・セルヴィとジョイスの奇人2人に振り回される話、のようなそうでもないような。とにかくどういう話なのか判断するのが難しい。 新訳ではなく再刊。 結局ミックがしたことは全て自己満足の世界で、ド・セルヴィは世界破壊なんて心から企んでいなかったのかもしれないし、ジョイスは自分をジョイスと信じ込んだ狂人だったのかもしれない。ミックは自分の世界に浸っている時は自身を英雄だと思うが、ふとした時にただ世界に振り回される小市民なのではないかとも感じている。 けれど結局、生きている人間は誰だって自分の目を通して世界を見るしかできないのだし、そこでの立ち位置を決めるのも自分しかいない。むしろ他人にその価値観を委ねないあたりミックは偉いのかもしれない。 会話文を「」でくくらない、イエズス会への言及などジョイスっぽいなーと思った個所もちらほら。 ところで解説の、アイルランド人たちは故郷にいても帰る場所を持ち、帰りたいと望む人たちであるといったような言葉が印象的だった。 こういう名作はぜひこんな風に再刊して手に入りやすいようにしてほしい。
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フラン・オブライエンの長編小説。 滑稽味溢れる書かれ方をしているが、よく読むとけっこう黒い。そういうところがつい底意地の悪い笑みを浮かべてしまうわけだが……。
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