さすが!といわれる合唱指導の原則 の商品レビュー
もともとは数学専攻で音楽指導の経験のない小学校の先生の30年近くにわたる合唱指導のメソッド、ノウハウの基本をまとめたもの。「声づくり編」(発声技術)、「音楽づくり編」(音楽表現技術)、「人づくり編」(教師としてのあり方)という3つの内容で、指導の順序や指示の仕方が解説される。発...
もともとは数学専攻で音楽指導の経験のない小学校の先生の30年近くにわたる合唱指導のメソッド、ノウハウの基本をまとめたもの。「声づくり編」(発声技術)、「音楽づくり編」(音楽表現技術)、「人づくり編」(教師としてのあり方)という3つの内容で、指導の順序や指示の仕方が解説される。発声練習をさせている授業の動画のリンクもあり、YouTubeで見ることができる。 TOSSと関わりがある先生らしく、正直だいぶ好き嫌いが分かれると思う。おれは中高のしかも男子しか教えてないので、これがどうやったら中高の指導の形になるのだろうか、ということをしきりに考えながら読んだ。あと絶対おれ小学校の教員無理だわ、と思ったり。動画も見たけど、正直ちょっと苦手。 でも発声だったら、良い声を出すためにどう指示すれば分かってもられるのだろうか、という1つのヒントにはなった。例えば、「おなかで支えて!」は意味不明なので、「マヨネーズ」と呼ばれる方法を解説する、「笑顔で」とか「目を開いて」とか指示しても表情が動かない児童には、眉毛の外側を持ち上げてと言う、とか「指が縦に2本入るように口を開けましょう」の指示よりは「笑顔で息を吸ってから下あごを指で押さえて『鯉のぼりの口』をしよう」とか、参考になりそう。個人的に面白かったのは「指揮者が手を上げると、『子どもたちがダッと足を開く』という演奏前の儀式 中学校の合唱祭などでもよくみられるあの儀式(きっと、あれがカッコいいと思っているのだろう)は日本独特の文化(特別活動的な指導)で、他の国ではみられないことらしい。(略)あの儀式にはデメリットしかないからだ。」(p.30)ということで、これがいかに発声に悪いことなのか、というのは面白かった。 でもやっぱり、おれは合唱指導するわけじゃないので、指導の基本、共通する部分、というところは読みやすかった。例えば発声指導の最後の部分では、「全体が動くシステムを確立しよう」(p.72)という話があって、いかに児童を見ていることを示すか、ほめるか、という話は、科目や小中高に関わらず指導の基本じゃないかと思い、TOSSらしいと言えばそれまでだが、大事なことだと思う。とか、最後の「人づくり編」で述べられる「冷たい本当より、温かい嘘」(p.115)も、あるところまでは大事かなあ。 ということで、正直、中高の指導について、しかも声楽が専門の先生の本というのがあったら読みたいなあというのが正直なところだった。(24/11/17)
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