事業承継を成功させる 自社株承継の実務 第2版 の商品レビュー
非上場会社の自社株承継対策について税務の視点から解説された書籍。多少陳腐化した面もあるがあらゆる局面から解説されており、網羅性に富んでいる。改訂版を待って購入するのが賢明か。 P157 (3) 議決権行使指図権と受益権 例えば、現経営者に子が2人(後継者 A、非後継者B)いて、後...
非上場会社の自社株承継対策について税務の視点から解説された書籍。多少陳腐化した面もあるがあらゆる局面から解説されており、網羅性に富んでいる。改訂版を待って購入するのが賢明か。 P157 (3) 議決権行使指図権と受益権 例えば、現経営者に子が2人(後継者 A、非後継者B)いて、後継者Aに自社株を集約したいものの、自社株以外に非後継者Bに渡せる財産が乏しい場合は、自社株を信託して、受益権をA・Bに承継させることが考えられる。この際、Aに経営権を譲るため、議決権行使指図権をAに与えることとする。 このような信託について、大阪高裁昭和58年10月27日判決をもって、指図 権のない受益者から「信託契約は無効である」と主張される可能性があると考える向きもあるようだが、「信託を活用した中小企業の事業承継円滑化に関する研究会」が平成20年9月に公表した「中間整理」では、この論点に関して次のように整理している。 「非公開会社においては、議決権について株主ごとの異なる取扱い(いわゆる属人的定め)を定めることが認められており(会社法第109条第2項)、剰余金配当請求権等の経済的権利と議決権を分離することも許容されているため、複数の受益者のうちの特定の者に議決権行使の指図権を集中させても、会社法上の問題は生じないと考えられる。」 筆者も同様の見解である。
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