メアリー・スーを殺して 幻夢コレクション の商品レビュー
アンソロジーとは言っても、執筆陣の中田永一、山白朝子、越前魔太郎はすべて乙一さんの別名義なので、乙一さんひとりのアンソロジーなのだけど。おまけに解説の安達寛高は乙一さんの本名らしいので、全部ご本人! ちょっと不思議な話が多くて、どれも面白かった。特に前半4つが好み。 「愛すべ...
アンソロジーとは言っても、執筆陣の中田永一、山白朝子、越前魔太郎はすべて乙一さんの別名義なので、乙一さんひとりのアンソロジーなのだけど。おまけに解説の安達寛高は乙一さんの本名らしいので、全部ご本人! ちょっと不思議な話が多くて、どれも面白かった。特に前半4つが好み。 「愛すべき猿の日記」 すごいオチがあるわけではないのだけれど、あるきっかけでいろいろなことが変化していく様子が好き。読後もじわじわくる。 「山羊座の友人」 いじめの描写で嫌な気分になるけれど、不思議要素で力が抜けて和む。青春あり、ミステリーあり、100ページほどの作品と思えないくらいぎゅっと詰まっていて楽しめた。 「宗像くんと万年筆事件」 児童書っぽい雰囲気が漂っていて読みやすい。謎解きもあって飽きなかった。切ないけどいい終わり方。 「メアリー・スーを殺して」 タイトルから殺伐としたお話を想像していたら、全然そんなことなかった。メアリー・スー、初めて知った。殺す動機も、殺し方も、殺したあとのできごとも、全部よかった。うまく言えないけどすごく好き。
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これは…期待以上‼︎ 同一人物、別名義のアンソロジー。(解説も含め) いつもの倍くらいの速さで読み終わったのは面白い上に読みやすいから。 私的には、前に読んで面白かったなーと思っていたZOOが霞む程です。 特に「山羊座の友人」がめちゃくちゃ好きやー。15歳の美少年と逃避行とか最高か!←違う。そんな話じゃない笑 2021.7.31 読了 備忘録
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乙一さんと中田永一さんが気になっていたので手に取ったら、まさかの同一人物!! なのにそうは感じさせず、飽きさせない短編集で満足でした。 山羊座の友人がいちばんよかった。
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図書館にて。 安達寛高さんのいくつかのペンネーム名義で書かれた短編を集めたもの。 「トランシーバー」は違うアンソロジーで読んだことがあったけれど、いい小説は何度読んでもいい。 一作目「愛すべき猿の日記」から心を鷲掴みにされた感じ。 次々に読みたくなる。 表題作もわくわくする、希望...
図書館にて。 安達寛高さんのいくつかのペンネーム名義で書かれた短編を集めたもの。 「トランシーバー」は違うアンソロジーで読んだことがあったけれど、いい小説は何度読んでもいい。 一作目「愛すべき猿の日記」から心を鷲掴みにされた感じ。 次々に読みたくなる。 表題作もわくわくする、希望がある。 辛い描写も容赦がなく、そこもかつて夢中になって読んだ「ZOO」を思い出した。 この人の描く世界をこれからも見せてもらいたいと思う。
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山羊座の友人が読みたくて買いました もちろんそのお話も面白かったのですが 勉強不足で乙一さんは作家名の一つであるということを 初めて知りました そしてより一層楽しんで読めました 特に残ったのは 「トランシーバー」「宗像くんと万年筆事件」でした。
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予想通り、おもしろかった。 この著者のストーリー、展開が好き。 本名は安達寛高。別名(乙一、中田永一、山白朝子)を使い分けジャンル別に作家活動をしている。 この短編集は、全てのジャンルを一つにしたものとなっている。 山白朝子名義で書かれているのがホラーなので個人的にはあまり好きで...
予想通り、おもしろかった。 この著者のストーリー、展開が好き。 本名は安達寛高。別名(乙一、中田永一、山白朝子)を使い分けジャンル別に作家活動をしている。 この短編集は、全てのジャンルを一つにしたものとなっている。 山白朝子名義で書かれているのがホラーなので個人的にはあまり好きでは無いが、それでも文章構成は面白い。 寝食忘れて読みたくなる著者の一人。
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中高生のときは、乙一さんの本はグロテスクでゾクゾクするから好きだった。社会人になって読むと、どうしようもなく切なくなった。山羊座の友人と宗像くんと万年筆事件が大好きです。
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乙一の別名義による短編集。解説は本名の安達寛高さん。全て一人でできているという面白い構成です。 山白朝子さん、越前魔太郎さんの作品は初読です。おそらく、それぞれの作者らしさが出ているんだろうなと思います。作風を変えられるのはすごいなあ、と感心してしまいます。 短編だからか、サラサラっと話が進んでしまうところがあるのは仕方ないところでしょうか。 「ある印刷物の行方」は、どこからが生命なのか考えてしまいます。また、医療の発達により治る病気も増えて長生きもできるようになりました。命とは、尊厳ある死とは。 「エヴァ・マリー・クロス」は、その楽器を想像してしまうと…。不気味だけれどそこに魅力を感じてしまうのでしょうか。 印象的だったのは、表題作の「メアリー・スーを殺して」です。 メアリー・スーという概念を初めて知りました。好きな作品について想像するとき、「メアリー・スー」を創り出すことは誰でもあるのではないのでしょうか。自分の世界を生きていくためには彼女を殺すことも必要で、しかし、勇気が必要なときには無敵の彼女が力をくれるのです。 やっぱり中田永一さんが好きなので、昔の作品を読み返してみようと思いました。
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以前中田永一の「百瀬、こっちを向いて。」を読んだ時に、乙一と中田永一と山白朝子は同一人物である、ということを知ったのだけど、この小説は同一人物だけど違う作家によるアンソロジー本という初めて読むタイプの本でした。 上記の3人に加えて、越前魔太郎という作家まで!(ちなみに安達寛高とい...
以前中田永一の「百瀬、こっちを向いて。」を読んだ時に、乙一と中田永一と山白朝子は同一人物である、ということを知ったのだけど、この小説は同一人物だけど違う作家によるアンソロジー本という初めて読むタイプの本でした。 上記の3人に加えて、越前魔太郎という作家まで!(ちなみに安達寛高というのは本名らしい) 乙一はホラー全般、中田永一は青春&恋愛(時々ミステリ要素あり)、山白朝子は怪談的和ホラー、そして越前魔太郎はそのどれにも当てはまらないけどデヴィッド・リンチの世界観的な奇妙な精神的ホラーというか…そんな印象を受けた。 どの作家もそれぞれにクオリティが高くて、7編収録されているのだけど飽きずにあっという間に読んだ。どの作家のどの作品がいちばん好きかと問われても答えるのは難しい。 作家別に好きなのを1編ずつ挙げるとしたら「山羊座の友人」(乙一)、「宗像くんと万年筆事件」(中田永一)、「ある印刷物の行方」(山白朝子)。越前魔太郎は1編のみの掲載なので除くとして。 切なくなったり、すっきりカタルシスを感じたり、ゾッとしたり、様々な感覚を味わえる。 表題の「メアリー・スーを殺して」も短編のタイトルの1つなのだけど(作者は中田永一)、メアリー・スーというのは、主に10代の若い人たちが2次創作をする際に、ヒロインを自分の理想を詰め込んだキャラクターに仕立て上げることを揶揄する言葉らしい。 由来はここでは割愛するけれど、それを知るとこのタイトルの意味がなるほどと腑に落ちる。 殺人や死がたくさん登場する短編集の中にあって、表題作はタイトルの不穏さとは真逆の爽やかなお話でした。 読み応えたっぷりでおすすめの作品です。
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