統合失調症と暮らす の商品レビュー
特に印象に残ったこととして、統合失調症という大きな仕事をしているということである。当事者には、自分の許容範囲で生活をしていくというのも大事だろう。
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「中井久夫と考える患者シリーズ」の第四巻。 中井先生の、患者に寄り添った穏やかで温かな視線に、深く癒された。 また、患者たちそれぞれの思いを知ることができたのも、この病気への理解を深める上で大いに役立った。 『「働くことに第一の自尊心を置く生き方より、まず安定して世に棲みうるラ...
「中井久夫と考える患者シリーズ」の第四巻。 中井先生の、患者に寄り添った穏やかで温かな視線に、深く癒された。 また、患者たちそれぞれの思いを知ることができたのも、この病気への理解を深める上で大いに役立った。 『「働くことに第一の自尊心を置く生き方より、まず安定して世に棲みうるライフ・スタイルを獲得することが重要ではないか」』 『第二章で執筆した東瀬戸サダエ氏は、まさに心の生毛と強さを持って「心の平和」を築いた、世に棲む患者の一人である。 彼女は一九六四年東京オリンピックの年に、二十六歳で統合失調症を発症、その後、合計二十二年の入院生活を送る。 地域にグループホームもなかった時代に、僚友とアパートで暮らすことを決断して退院した。「希望を心に灯し続け」「たった一度の人生だから」と道を切り開いた。 —中略— 障碍があっても不幸ではないことを、自らの人生をもって教えてくれる。八十歳になった彼女は今も健やかに短歌を詠み、愛情のこもった視線で世界を見つめている。』 『「精神科の病気は自然回復力がかなり強い病気」であり、「行きつ戻りつしながら全体としては治っていく。病勢を見ながらじっくりと生活を整える方向で治療する」』 『私の言いたいのは、多数者の途に—復帰するのでなく—加入することが、たとえ可能だとしても、それが唯一の途ではないだろうということである。 また、敢えていえば、つねに最善の途だろうか。 —中略— 考えてみれば、統合失調症を経過した人は、事実において、しばしばすでに社会の少数者である。そのように考えるとすれば、少数者として生きる道を積極的にさぐりもとめるところに一つの活路があるのではあるまいか。』 『そして労働は心身の余裕と生活の基盤を確立する以前に無理強いするべきことではないと付言したい。 —中略— 早すぎる労働再開は長期的には再発、慢性化への途を、したがってより大きな経済的損失の途をひらくことが多いのは、結核と変わらないと思う。』
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