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夜光虫 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2024/01/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

金田一シリーズと違い、舞台がほとんど戦前の頃。 読んで頭に浮かぶのは劇画的な世界。 女の犯人は自殺するか殺される。 探偵小説ではあるけど、いわゆる本格ものとはまた違うと自分の中では思う。

Posted byブクログ

2023/06/07

由利・三津木探偵小説シリーズ第2巻。 【夜光虫】 隅田川の花火の雑多に逃げ込んだ輸送中の殺人容疑者。凄まじいほどの美貌の青年だが、肩におぞましい人面疽を持っていた。 だがその人面疽を目にした口の利けない美少女の顔色が変わった。美少女は、幼い頃からその青年の美貌と人面疽の姿絵を見...

由利・三津木探偵小説シリーズ第2巻。 【夜光虫】 隅田川の花火の雑多に逃げ込んだ輸送中の殺人容疑者。凄まじいほどの美貌の青年だが、肩におぞましい人面疽を持っていた。 だがその人面疽を目にした口の利けない美少女の顔色が変わった。美少女は、幼い頃からその青年の美貌と人面疽の姿絵を見せられ「あなたの婚約者だ」と言われていたのだ。 …瑕疵のある美青年、サーカス、監禁される佳人、獰猛な獣…。いやもう、耽美趣味、外連味、そして偶然に継ぐ偶然てんこ盛りで、読みながら笑っちゃうほどでした。 この美青年は登場時は差辻人容疑者ですが、話が進んでいくと、面倒な運命を背負わされたとても素直な性質だと分かってきます。 オドロオドロシイのに素直、横溝正史っぽいなあと思います。 【首吊船】 有能新聞記者の三津木俊助の元には、警察には言いづらい調査の依頼が来ることがある。今日呼ばれたのは、政府高官五十嵐氏の妻、絹子夫人からの人探しの依頼だった。 敵の多い五十嵐氏は最近脅迫されているようだ。そして絹子夫人は、その犯人が死んだはずの昔の恋人ではないかと疑っていた。 絹子夫人と、三津木俊助のいる部屋に映る影。それは首を吊られた人形をぶら下げて川を下る船だった。 【薔薇と鬱金香(うっこんこう)】 作家磯貝氏の妻弓子は、その美貌からマダム・チューリップ、鬱金香夫人(うっこんこうはチューリップのこと)などと呼ばれていた。 弓子の前夫の畔柳(くろやぎ)博士は刺殺されていた。犯人の薔薇郎(そうびろう)という歌手は獄死していた。 そんな弓子夫人に事件の再現を見せつけようとする人物が… …花を通り名に持つ美男美女、なんか便利な薬、生まれる前からの宿命?など耽美展開。真相とオチは、いい気なもんだという気がちょっとしないでもない…(^_^;) 【焙烙の刑】 スター俳優桑野貝三は、又従妹の葭江(よしえ)から助けを求められる。葭江の夫が脅迫されているというのだ。現場に着いた桑野貝三は、死体らしき物が入った袋を見せられ…。 【幻の女】 ホテルで殺された女性。バスルームには「幻の女」のサイン。かつてアメリカを揺るがした女殺人鬼が日本に戻ってきたのか!? 由利麟太郎と三津木俊助は連続殺人に巻き込まれる。 …Aかと思った人物が実はB で、やっぱりCで?みたいにこんがらがりまくります/笑 そしてラストのオチは…これは自由とか開放とかなのか、振り出しに戻ってまた数十年後に同じことが起こるんじゃないの?ということなのか… 【鸚鵡を飼う女】 三津木俊助は、ある家の門前に停まる人力車と、途方に暮れている男に出会う。 男は車夫に「ここで待っていてくれ」と言われたのだが、中に入ったきり出てこないという。 だがその人力車からは血が滴りでているではないか! 家に踏み込むと、数多の人形と喋る鸚鵡がいる血塗れの座敷があり…。 【花髑髏】 凶悪な犯罪者を安楽死させたことを隠し続ける医学博士。彼は犯罪者の頭蓋骨をずっと持っていた。 まるで犯罪者が復讐にきたかのように起きる事件。 現場には花で飾られた髑髏が鎮座して…。 …複雑な人間の関係、人間心理が絡まり合い絡まり合い…。話としてはかなりインパクトが強い。 【迷路の三人】 幽霊屋敷と呼ばれる廃墟の庭は迷路のようになっていた。幽霊屋敷探検に来た若い男女、梨枝・美雁姉妹と鳥羽青年。美雁は背後に迫る怪しい人物に気がつく。美雁の悲鳴を聞いた梨枝と鳥羽はなんとか駆けつけるが…。 …迷路庭園での事件って、お互い近くにいて会話もできるけれども助けにはいけないという臨場感がありますね。ラストには…ちょっといい気なもんだという気もしないでもないが、まあ殺人小説なんだからしょうがない。 【付録 夜光虫】 『夜光虫』の書きかけ?最終版とはかなり違うなあ。書いては変更したりしているんですね。

Posted byブクログ

2022/08/22

由利先生と三津木記者も大分しっくりしてきました、昭和モダンスリラーといった趣です。表題作「夜光虫」はジュブナイル的な長編ですが、複数勢力が入り乱れ読ませます。大昔に少女マンガ化されているようですが、美少年、人面瘡、時計塔とガジェット満載なので、魔夜峰央さんにコミカライズして欲しか...

由利先生と三津木記者も大分しっくりしてきました、昭和モダンスリラーといった趣です。表題作「夜光虫」はジュブナイル的な長編ですが、複数勢力が入り乱れ読ませます。大昔に少女マンガ化されているようですが、美少年、人面瘡、時計塔とガジェット満載なので、魔夜峰央さんにコミカライズして欲しかった。中編では「幻の女」がスリリングで楽しめます。全米を震撼させた殺人鬼!というアオリは微妙ですが。最後がまた良いです。その他の収録短編は「首吊り船」「薔薇と鬱金香」「焙烙の刑」「鸚鵡を飼う女」「花髑髏」「迷路の三人」となります。

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2020/06/27

美貌ながら醜い人面瘡を持つ少年と物憂げな美少女が巻き込まれる異形の愛憎劇を描く「夜光虫」をはじめ、サスペンスフルな展開で読者をとらえてはなさない、怪奇と耽美に包まれた華やかな犯罪絵巻全8篇 ――横溝正史が生んだもう一人の名探偵・由利麟太郎とその助手・三津木俊助が帝都を舞台に大活躍...

美貌ながら醜い人面瘡を持つ少年と物憂げな美少女が巻き込まれる異形の愛憎劇を描く「夜光虫」をはじめ、サスペンスフルな展開で読者をとらえてはなさない、怪奇と耽美に包まれた華やかな犯罪絵巻全8篇 ――横溝正史が生んだもう一人の名探偵・由利麟太郎とその助手・三津木俊助が帝都を舞台に大活躍するシリーズ第2弾! 夜光虫 首吊船 薔薇と鬱金香(うっこんこう) 焙烙の刑 幻の女 鸚鵡を飼う女 花髑髏 迷路の三人 令和2年6月23日~27日

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2020/05/25

「夜光虫」読んだことがないはずなのになんとなく知っている気がする……と思ったら。「血まみれ観音」の原作だったのか! やっぱり文句のない面白さ。美男美女と怪人、そして探偵が入り乱れる冒険活劇はひたすら華麗。そしてわくわくしながらぐいぐい読んでいると、ミステリとしての意外性にも驚かさ...

「夜光虫」読んだことがないはずなのになんとなく知っている気がする……と思ったら。「血まみれ観音」の原作だったのか! やっぱり文句のない面白さ。美男美女と怪人、そして探偵が入り乱れる冒険活劇はひたすら華麗。そしてわくわくしながらぐいぐい読んでいると、ミステリとしての意外性にも驚かされます。 お気に入りは「花髑髏」。もうこのタイトルだけで惹きつけられてしまいました。因縁が漂う物語に、何とも言えず猟奇で美しさを感じさせられる花髑髏。そしてこの幕切れもしんみりと美しくて好みです。 「迷路の三人」もシンプルだけど、トリックは印象的。そして未発表版の「夜光虫」の続きが気になるのが多少残念なところです。

Posted byブクログ

2021/02/27

由利先生&三津木記者コンビシリーズ第二弾。 金田一シリーズと違って、こちらはミステリーとしての要素よりもサスペンスというか活劇のような要素の方が強い。 表題作の『夜光虫』は、後の『人面瘡』や『三つ首塔』『八つ墓村』など、様々な作品のアイデアの原点になっていそうな作品。 ...

由利先生&三津木記者コンビシリーズ第二弾。 金田一シリーズと違って、こちらはミステリーとしての要素よりもサスペンスというか活劇のような要素の方が強い。 表題作の『夜光虫』は、後の『人面瘡』や『三つ首塔』『八つ墓村』など、様々な作品のアイデアの原点になっていそうな作品。 狂気、妖艶、因縁など、後の様々な作品につながる要素いっぱい。 毒婦あり、殺人鬼あり、ファム・ファタールあり。 でもこのシリーズで注目されるのはやはり女性。女性に注目しながら読んでいくと案外シンプルに解けていく。だがそこにミステリーや活劇や恋愛や因縁などの肉付けをしていくことで見事な娯楽作品が出来上がる。 推理担当の由利先生と行動力担当の三津木記者とのコンビもますます上手く馴染んでテンポよく読める。

Posted byブクログ