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月まで三キロ の商品レビュー

3.9

254件のお客様レビュー

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2019/04/13

日本経済新聞社 小中大 記事利用について 印刷 印刷 あとがきのあと「月まで三キロ」 伊与原新氏 科学的思考を人間ドラマに 2019/3/2付日本経済新聞 朝刊  「宇宙や地球について知りたいから研究するし、標本も面白いから集める。科学というのは、実は人間っぽい活...

日本経済新聞社 小中大 記事利用について 印刷 印刷 あとがきのあと「月まで三キロ」 伊与原新氏 科学的思考を人間ドラマに 2019/3/2付日本経済新聞 朝刊  「宇宙や地球について知りたいから研究するし、標本も面白いから集める。科学というのは、実は人間っぽい活動なので、十分ドラマになると思います」  2010年『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞して作家デビューしたときは、富山大助教として地磁気の研究に取り組んでいた。元研究者だけに科学を語る口ぶりは熱い。  短編小説6編を収めた本書は理系の世界を描いている点はこれまでの作品と同じだが、科学的思考が挫折しかけている人々の心を揺り動かす。胸を打つ人間ドラマとなっている点が新境地といえそうだ。  「小説に登場する視点人物たちは科学とは無縁の人々なので、論理的な考え方にとらわれなくてもいい。科学嫌いの方が読んでも、共感してもらえるのではないか」と期待する。  表題作は事業に失敗し、自殺する場所を探す男性が主人公。元地学教師のタクシー運転手に「月に一番近い場所」に連れて行ってもらい、話を聞いているうちに自分の人生を見直す。「月まで3キロという標識が静岡県にあるのは前から知っていて、それを物語にしたかった」という。  「アンモナイトの探し方」は心を病んだ小学生が、北海道の化石発掘現場で、無心になるという経験をする。「子供には子供の悩みがある。そのリアリティーをいかに出すかが悩みどころでした」と振り返る。  「ミステリーではないので、意外性にはあまりこだわらなかった」というが、予想を裏切る結末の作品もある。家族に不満を持つ主婦が1人で山を登り、火山の研究者と出会う「山を刻む」。彼女が下す決断は多くの読者にとって思いがけないものだろう。  作家専業になって7年ほど。「試行錯誤の連続」と述べながらも「今回のような短編は今後も書いていきたい」と手応えを感じている。青春小説や近未来小説といった長編でも、研究者の経験を生かす考えだ。(新潮社・1600円)  (いよはら・しん)作家。1972年大阪府生まれ、東京大院博士課程修了。著書に『蝶が舞ったら、謎のち晴れ 気象予報士・蝶子の推理』『コンタミ』など。 このページを閉じる 本サービスに関する知的財産権その他一切の権利は、日本経済新聞社またはその情報提供者に帰属します。また、本サービスに掲載の記事・写真等の無断複製・転載を禁じます。 NIKKEI Nikkei Inc. No reproduction without permission.

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2019/04/08

短編集。 どれもジーンとくる。 『エイリアンの食堂』では、以前住んでいたつくばの街を思い出した。妙に具体的な科学的説明が物語のいいアクセントになっているんだろうなぁ。だから、物語も妙にリアルというかね。

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2019/04/08
  • ネタバレ

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標題作を含む6編からなる短編集。 のっけから地学の授業のような、なんだか詳しい天体の話が始まり、なんだなんだ~と著者の略歴を見ればなんと、大学院で地球惑星科学の博士課程を修めたという。その後も、気象学、古生物学、地球惑星科学、素粒子物理学、火山学などに絡めた物語が続き、なんだか新鮮。 折れそうな心を抱いた男、女、少年、少女・・・彼らの背中をそっと押してくれるのは、月だったり、雪の結晶だったり、アンモナイトの化石だったり、星だったりする。 科学というともすれば無機質になりそうな題材を織り込み、これだけ人間味ある、心にしみる作品が描かれたことにただただ感心。 どの物語も大きな感動はないけれど、静かに胸を熱くするものがあり、読んでよかった作品でした。 一番好きなのは「エイリアンの食堂」。泣けました。

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2019/04/07

良かった。とてもよかった。   事情を抱えた主人公が、自然科学分野の達人と出会い、生きていく力をチャージされる短編小説が6つ、入ってます。 とらわれて身動き出来なくなるような事情を抱えこんでいる主人公たちなのに、天文、気象、化石、地球温暖化、素粒子、火山――日常生活では関わらな...

良かった。とてもよかった。   事情を抱えた主人公が、自然科学分野の達人と出会い、生きていく力をチャージされる短編小説が6つ、入ってます。 とらわれて身動き出来なくなるような事情を抱えこんでいる主人公たちなのに、天文、気象、化石、地球温暖化、素粒子、火山――日常生活では関わらないような単語が体の芯まで沁み込んでる人たちの振舞いにふれて、ガッチガチに固まってしまっていた何かがほぐれる……そのほぐれる瞬間に立ち会える本です。   この本にも出てきますが、生きていると、当たり前だと思っている日常が不意に途切れることがあります。そんなときって、慣性の法則みたいに、そのまま進んでいこうとする力と途切れてしまった現実とが摩擦を起こして、接地面が削れて血が流れます。痛さで考えることも動くこともできなくなります。そんな痛みを知ってる人に、おすすめしたい本です。

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2020/03/18
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2019/03/15予約 15待ち わかりやすい話とそうでない話があった。 あまり好きな感じではなかった。

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2019/03/13

生徒から紹介されて読みました。 6つの短編が収められていますが、どの話の主人公も家族との関係性や自身の生き方に悩み、心が折れそうになっているところから話がスタートします。 離婚したり親子関係に躓いたりして自殺を考えた主人公が、月と地球の関係を改めて知る、表題作の『月まで三キロ』、...

生徒から紹介されて読みました。 6つの短編が収められていますが、どの話の主人公も家族との関係性や自身の生き方に悩み、心が折れそうになっているところから話がスタートします。 離婚したり親子関係に躓いたりして自殺を考えた主人公が、月と地球の関係を改めて知る、表題作の『月まで三キロ』、受験や両親の離婚に悩む主人公が、「理解した」と思っていても整理できていなかった自分の気持ちに向き合う様子を緻密に描写した『アンモナイトの探し方』など、どの物語も理科(地学)の要素を組み入れながら、「救い」のあるストーリーに仕上げています。 個人的には、上記2作と、生徒のおすすめでもあった『山を刻む』という話が良かったと思います。 どの話も、設定にリアリティがありましたし、(展開には多かれ少なかれフィクションのにおいがあるものの)そこまで突拍子もないエンディングでもなく、どの話も心が温まる前向きな読後感で、多くの人が受け入れやすい作品だと思います。 理系(地学)に関する情報も出てきますが、そこまで専門的な知識は必要ありませんから、理科が苦手だった人でも無理なく読むことができます。また、論理的でない「フィクション(物語)」は好きではない、という理系の人にとっても、自然科学の要素が小説に取り入れられたときにどのような反応(変化)をするのかを知ることができて楽しいのでは、と思います。

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2019/03/06

もともと優しく温かい話が好きなのです。ただ、そうした作品を読み続け過ぎた結果、最近では甘さが鼻につくようになり、良い人だけしか登場しない小路さん、森沢さんなどからはしばらく離れていようと考えているのです。そんななか、初めて読んだ伊与原さんですが、やはり優しく温かい系。でもちょっと...

もともと優しく温かい話が好きなのです。ただ、そうした作品を読み続け過ぎた結果、最近では甘さが鼻につくようになり、良い人だけしか登場しない小路さん、森沢さんなどからはしばらく離れていようと考えているのです。そんななか、初めて読んだ伊与原さんですが、やはり優しく温かい系。でもちょっと今までに無い感じでした。 どの短編でも主人公は挫折の中に居ます。そして最後になってもその状況から抜け出すわけではありません。しかし、登場人物たちがお互いに相手を信じ、認め合っている姿がとても心地良く、清々しいエンディングなのです。 どの短編でも最新の科学技術が扱われます。「月まで三キロ」天文学、「星六花」気象学、「アンモナイトの探し方」古生物学、「天王寺ハイエイタス」地球惑星科学、「エイリアンの食堂」素粒子物理学、「山を刻む」火山学。これが東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学の博士課程を修了した伊与原さんの特徴の様です。しかし知識をひけらかすような嫌な感じはなく、物語の伏線として上手く埋め込まれていて見事でした。 どうもこれまでは軽いミステリー・サスペンス系が多い作家さんのようですが、この『月まで三キロ』はとても見事な人間ドラマでした。 もう少し追っかけてみたいと思います。

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2019/03/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

月や星、気象等、興味のある分野の話が出て来て面白かった。 理系の自然科学を絡めた短編集。 人の悩みは常にもやもやしていて、理系の問題を解くようにスッキリした解答が得られる訳ではないのが辛い。 人の気持ちは曖昧ではっきりした答えはなかなか出せないけれど、月や空、雲、星といった太古から脈々と受け継がれる自然科学を前にすると、自分の悩みもちっぽけに思えてくる。 短編全てがラストで晴れやかな気持ちになれるところがいい。 さすが理系男子・伊与原さんの描いた物語だけあって、話の展開が明確でスッキリしていた。 特に『星六花』『アンモナイトの探し方』『エイリアンの食堂』が好き。

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2019/02/24

目に見えているようで見えていないような世界の小説です。 つくばエクスプレスで隣に座ったインドと思しき方が、ノート一面に数式を書き連ねていて「ああ、念願の筑波に向かってるんだ」と嬉しくなったものです。どの小説も素敵だけど、エイリアンの食堂は、あの時の町並を思い出させます。1人で娘を...

目に見えているようで見えていないような世界の小説です。 つくばエクスプレスで隣に座ったインドと思しき方が、ノート一面に数式を書き連ねていて「ああ、念願の筑波に向かってるんだ」と嬉しくなったものです。どの小説も素敵だけど、エイリアンの食堂は、あの時の町並を思い出させます。1人で娘を育てる父親の心許なさと、遠い宇宙と素粒子の話。

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2019/02/22

ところどころに印象的なワードがあっていい話だなー、と思うところはありましたが、専門分野の説明過多で本筋のストーリーがあまり頭に入ってきませんでした。非常に高い専門性を持った作者の方なのでそうなるのはやむを得ませんが、勿体無い感じ。

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