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法人税欠損事業年度の攻略法 の商品レビュー

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2019/12/10

法人税の欠損金に関して基礎からわかりやすく解説された書籍。既知のことが多かったが、知識の整理ができた感じ。はじめにの書き出しがよかった。 はじめに 「自分の会社は最近、ずっと赤字続きなのに、ある日突然、税務署から多額の税金が滞納になっている、と連絡がありました。いったいどういうこ...

法人税の欠損金に関して基礎からわかりやすく解説された書籍。既知のことが多かったが、知識の整理ができた感じ。はじめにの書き出しがよかった。 はじめに 「自分の会社は最近、ずっと赤字続きなのに、ある日突然、税務署から多額の税金が滞納になっている、と連絡がありました。いったいどういうことでしょうか」ということを実際に相談されたことがあります。 「関与されている税理士さんに相談されてはどうですか?」と言うと、「自分で計算して申告しているので、 関与している税理士はいないのです」ということらしいのです。 また、「会社が儲かったら相談したいので、そのときはよろしくお願いします」 という方もよくいらっしゃいます。 税理士であれば、たとえ欠損事業年度であっても、注意をもって申告書の作成をすることができますが、一般の納税者であれば、簡単だと高をくくってしまって、あとで大変な目に遣うことはよくあります。 利益が出る事業年度の申告であれば、節税の方法を指南した本や情報は世の中にたくさんありますので、むしろその方が簡単なのではないかと思うくらいです。 一般の納税者が陥りがちなミスは、「儲かっていなければ税金は払わなくてもいい」と思い込んでいるところにあると思います。知らないとは恐ろしいものだなとつくづく思います。 というのも、実際に相談に来られて、その内容を確かめてみると、とんでもない事態に陥ってしまっていることがよくあります。 もっと恐ろしい事例もあります。それはずっと赤字のはずなのに、多額の税金が滞納となっているケースです。 当社はこの数年間、赤字続きだったので、毎年の申告は欠損事業年度としての申告をしています。計算も簡単だし、所得金額もマイナスになるのでそのようにして申告をしていました。ところが税務署から「数百万円の税金が納められていない」と連絡が入り困っているといった内容です。 そんな不条理なことがあるものかと、よくよくその内容を確かめてみると、儲かっていたときに関連会社を設立し、その会社で役員報酬を月100万円ほど支払っていたといいます。しかし、ここ数年めっきり儲からないようになったので、税理士の関与を辞めて自分で申告をするようにしていました。 役員報酬はずっと経費として認められていましたので、 支払うお金は会社にはありませんでしたが、未払金として経費に計上し、赤字決算にして申告を続けていました。 これは大変なことをしてしまっている、と直感的に思いました。 それが税金の世界で、 どのように大変な事態になっているのか、というと、100万円の役員報酬には源泉所得税がかかります。 所得税法のルールとして会社には源泉徴収義務があります。 源泉徴収義務とは、給与を支払った場合には、その給与のうちから本人の源泉所得税を会社が徴収して国に納付しなければならない義務のことをいいます。そして関連会社として支給した役員報酬ということですので、所得税法上では恐らく乙欄という特別な税率で約38%の源泉所得税を計算して納付しなければならないはずです。 つまり、会社は毎月100万円の報酬額に対して約40万円近くもの源泉所得税を徴収して国に納付する義務がありますので、1年間で約480万円、3年間で約1,440万円の所得税が滞納されている事態となっているわけです。 法人税の申告書は毎年それで提出されているため、たとえ報酬が未払いであろうが、赤字であろうが、会社がその計上した役員報報酬額を役員に支払うという事実は確定してしまっています。 会社はその役員報酬の残額は本人に支払い、そしてその税金は国に納付しなければなりません。 役員報酬はその会社を所有している本人の報酬ですので、それが未払いであっても許されるのでしょうが、 滞納している税金はそういうわけにはいきません。 このような事態に陥る前に、会社に関わる税金の知識は、赤字だからと高をくくらず、欠損事業年度こそ、 しっかりと学んでおくべきではないでしょうか。本書が我が国の納税義務の適正な実現を図る指針になればと願います。

Posted byブクログ