1,800円以上の注文で送料無料

人形剣士は絶ち切れない(1) の商品レビュー

3

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/06/27

MF文庫の新人賞大賞作品、新進気鋭の林星梧先生の作品は冒頭から突飛な発想が続き、とても引きこまれる作品です。 まず驚くのが、攻撃魔法が禁止されている、という設定です。視点となるガルノー(こんな名前だけど女の子)は、過去の大戦を教訓にして、戦闘転換可能な魔法を取り締まる審問会に所...

MF文庫の新人賞大賞作品、新進気鋭の林星梧先生の作品は冒頭から突飛な発想が続き、とても引きこまれる作品です。 まず驚くのが、攻撃魔法が禁止されている、という設定です。視点となるガルノー(こんな名前だけど女の子)は、過去の大戦を教訓にして、戦闘転換可能な魔法を取り締まる審問会に所属するエリート。そんな彼女の任務は、見た目完全に生きている人間そのものを操るブレイスを監視することだった。という形で物語は進行してゆきます。 魔法禁止に取り組む組織の一員として、当初こそガルノー少女は信念に従って行動するものの、審問会の厳然とした態度や止む終えぬ事情でありながらも死罪となってしまう現実から、倫理と法の狭間で苦しむことになります。社会全体から見れば決して間違いではなくとも、ミクロで見れば苦しむ人がいる。そんな現場人の苦悩が克明に描かれています。法は必ずしも自らの助けにはならない。昔、東野圭吾先生の作品「さまよう刃」の復讐劇を見て、そう思ったことを思い出させてくれる作品でした。 唯一の心配事は、この作品の形式です。ライトノベルは一般文芸に比べて続編が出やすい傾向にありますが、ガルノ―審問官の観察日記としている以上、続きが難しいのではないかと心配しています。新人賞とは思えぬ実力、ぜひとも星先生の続きを拝見したいので、そのあたりなんとかならないかなぁとどうでもいい感想を抱きました。 なにはともあれ、すばらしい一冊。人形に魂があるか、という点も、物に魂が宿るという日本人的精神にぴったり。レビューを読んだ方はぜひご購入ください。

Posted byブクログ