逆説の日本史(24) の商品レビュー
前半では不平等条約改正に向けた帝国憲法制定や議会開設等を為政者達の政局の視点から詳述し、後半で日清戦争に至る経緯経過と儒教の視点から見た台湾、朝鮮統治を詳述しているが、明治中盤のメインイベントである憲法議会の制定と日清戦争についての史実描写が少なく、儒教的観点から見た思想面に偏...
前半では不平等条約改正に向けた帝国憲法制定や議会開設等を為政者達の政局の視点から詳述し、後半で日清戦争に至る経緯経過と儒教の視点から見た台湾、朝鮮統治を詳述しているが、明治中盤のメインイベントである憲法議会の制定と日清戦争についての史実描写が少なく、儒教的観点から見た思想面に偏って記されているように感じた。 儒教的観点での思想面に偏りすぎて、歴史全体に客観的な描写が少なくなっているように感じた。 歴史を見る上で思想という視点と歴史が現在にいかに影響を与えているかを見ることは非常に重要であると思うが、本連載において江戸明治期以降は歴史の観点が少し思想面にぶれているように感じる。 しかし歴史があって現在に至るという連続性を改めて考えさせられた。
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帝国憲法、日清戦争、台湾統治と明治の中盤くらいの歴史を論じた本。 井上毅については高橋是清の自伝でのボワソナードとの対談くらいしか認識が無かったが改めて凄い人物と認識させられた。 朝鮮への介入も朱子学に基づいた解釈。本書にあるとおりだからといって殺すのはいかがなものか。 日本陸軍...
帝国憲法、日清戦争、台湾統治と明治の中盤くらいの歴史を論じた本。 井上毅については高橋是清の自伝でのボワソナードとの対談くらいしか認識が無かったが改めて凄い人物と認識させられた。 朝鮮への介入も朱子学に基づいた解釈。本書にあるとおりだからといって殺すのはいかがなものか。 日本陸軍の補給軽視の考えが早くも出てきているのには閉口した。真の失敗は成功中にも現れているものらしい。
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毎回楽しみにしています。毎度の主張はそろそろ飽きたやけど、その強さが歴史を立体的にさせるので面白い。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
昔常識であったことが今では非常識になり、逆に昔なかった考えが現在では常識になる。 こういった常識・非常識の遷移というものは当然一瞬で起こるものではなく、歴史上の何らかの出来事なり、為政者達が実施したことを通じて時間をかけてなされるものである。 逆説の日本史シリーズはこれまでもこういった観点での知見を多く提供してくれたが、この24巻は特に上記の内容が、つまり、何によって、現在常識と考えられている考え方が定着しだしたか、を明らかにしている点が多いと感じた。 具体的例としては、まず平等の実現。 欧米では神が存在することにより、その下で全ての人間は平等になった。 日本は天皇を神とすることにより、同じことを実現した。 また、江戸時代までには存在しなかった、日本人という概念、公の概念の実現。それに教育や男女平等の必要性。 これらを教育勅語、帝国憲法が定着させた。 教育勅語や帝国憲法は副作用も大きかったので、これを以て良いとすることはできないが、良かった点は良いと評価する点はさすが井沢氏であり、ここら辺の主張が同意できるから、本シリーズを全巻読み続けているのだと感じた。 外国とのかかわりが多くなり、行われる行動やその裏の考え方が江戸時代以前よりわかりづらくなっている明治時代について、出来事と出来事との間をつなぐ糸を示しながらわかりやすく解説してくれるこの逆説の日本史シリーズはやはり面白い。
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いつもながら、知的好奇心を刺激されました。 大日本帝国憲法が、プロシア式ではなく、イギリス式を採用していたら、その後の日本の辿った歴史は変わったのでしょうか。 答えは分かりませんが、そんなことを考えさせられました。 また、近隣諸国との外交を今後考える上でも、歴史を知ることは重要...
いつもながら、知的好奇心を刺激されました。 大日本帝国憲法が、プロシア式ではなく、イギリス式を採用していたら、その後の日本の辿った歴史は変わったのでしょうか。 答えは分かりませんが、そんなことを考えさせられました。 また、近隣諸国との外交を今後考える上でも、歴史を知ることは重要だと改めて認識しました。 まだ少し先ですが、大日本帝国崩壊へ歴史は進んでいきます。 二度と同じ過ちを繰り返さないためにも、しっかり学んでいきたいと思います。
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江戸末期に結ばれた不平等条約の解消と日清戦争が繋がっているとは思いもしなかった。目から鱗。 また、現在の日本・朝鮮・中国と日本の関係もこの当時と本質的には何も変わっていない。相手が変わらないと変わらない。 最近の「逆説の日本史」の中でも珠玉の作品。
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帝国憲法と教育勅語、日清戦争から台湾と朝鮮統治までを描きます。 中国と朝鮮が、いかに朱子学に毒されていたか、そしていまでも毒されているかを、さまざまな事実をもとに解き明かしていきます。 今に始まったことではありませんが、日本の歴史界、マスゴミの偏狭には、辟易します。
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大日本帝国憲法の素案を作成した井上毅。知らなかった。噛んで含めるように、憲法発布までの流れを読み進める。 帝国憲法は天皇の絶対化のもとに構築されているが、現人神として神格化したものではない。 帝国憲法や教育勅語は、今や国家が国民を縛り付ける教義のように捉えられているが、国家も国...
大日本帝国憲法の素案を作成した井上毅。知らなかった。噛んで含めるように、憲法発布までの流れを読み進める。 帝国憲法は天皇の絶対化のもとに構築されているが、現人神として神格化したものではない。 帝国憲法や教育勅語は、今や国家が国民を縛り付ける教義のように捉えられているが、国家も国民の概念も男女平等も教育の必要性も天皇の名のもとの平等によってしか推し進められなかったという。 成程なあ。戦中派、所謂昭和ヒトケタ族の僕の両親の世代には、散々教育勅語を聞かされ、天皇の赤子であることを強要されたから、殊更帝国憲法や教育勅語を貶める気になるのだろうし、僕も親の言葉から影響を受けている。 例えば、男女平等、動物愛護、機会均等。そんな概念が当たり前になっている現代からそんなものがなかった過去を見る目をちゃんと持つのは難しいねえ。 軍人勅諭も軍人に政治に関わらないようにする意図に作られたという。良かれと思ったことが、反対の結果を招く歴史の怖さ。 後半は日清戦争。中国も朝鮮も朱子学まみれで守旧に凝り固まりどうしよもない。差別をなくすための創氏改姓などの同化政策の落とし穴についても語られる。 この問題は未だに引きずり続けているもんな~。朱子学的信条の人々とは相互理解は有り得ないのかな~。どうしたもんだろうと思いつつ、続巻を待とう。
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