窓辺のキャンドル の商品レビュー
アイルランドの田舎で暮らす著者のクリスマスに関するエッセイ集。 著者の子どもの頃の思い出と、大人になった今のクリスマスの過ごし方が詳しく書いてある。ただひたすらに「玄関に○○を飾り、暖炉の部屋には△△を飾り……」という描写が続くものの、退屈せず読むことができた。ひとえに、1人きり...
アイルランドの田舎で暮らす著者のクリスマスに関するエッセイ集。 著者の子どもの頃の思い出と、大人になった今のクリスマスの過ごし方が詳しく書いてある。ただひたすらに「玄関に○○を飾り、暖炉の部屋には△△を飾り……」という描写が続くものの、退屈せず読むことができた。ひとえに、1人きりで準備を進める著者の心理描写がユーモアたっぷりに書かれているおかげだろう。 著者の描くクリスマスには、煌びやかなイルミネーションも派手なサンタも登場しない。人形のサンタは登場する。しかし、暖炉の掃除をしてもらい、モミの木を家に運び、人形の降誕セットをいくつか家の中に配置し、玄関にリースを飾ってもいいものか悩みつつ楽しげな著者の文章を読んでいると、どうしようもなくクリスマスな気分が高まってくる。こういう準備期間こそが、最もクリスマスらしい瞬間なのかもしれない。 詳細な訳注があり、そのおかげで著者の住む地を身近に感じることができた。英語作家である著者に対して変な表現になるが、著者の人となりらしい日本語で訳されていた。翻訳者の著者に対する深い理解と愛情がよくわかるような訳文だった。
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