不動産賃貸の所得税Q&A の商品レビュー
所得税不動産所得に焦点を絞った意欲作。税理士実務において不動産賃貸経営は、サラリーマンの副業として、定年退職者の不労所得として頻発するビジネスだ。不動産所得について掘り下げて一度理解を深めてみたいと思う税理士等の実務家には必読の書籍だ。 P295 2 建物が共有である場合の事業的...
所得税不動産所得に焦点を絞った意欲作。税理士実務において不動産賃貸経営は、サラリーマンの副業として、定年退職者の不労所得として頻発するビジネスだ。不動産所得について掘り下げて一度理解を深めてみたいと思う税理士等の実務家には必読の書籍だ。 P295 2 建物が共有である場合の事業的規模の判定 建物の貸付けが事業として行われているか否かの判定基準は所得税基本通達26-9が定めています。 建物の所有が複数人の共有になっている場合に、同通達の定める基準を充足するか否かの判定を、当該建物全体で判定するのか、各共有者の共有持分で按分して判定するのかが問題となります。 ご質問のケースでいうと、建物全体で判断すると12室なので、事業的規模であるということになり、各共有者の共有持分で按分して判定すると各共有者6室ずつということになり、事業的規模に至らないということになります。 実務的には、このような場合には、建物全体で判断するものとされているので、あなたの不動産所得も、父親の不動産所得も事業的規模のものとして扱われます。 3 青色申告特別控除の適用 事業的規模であるか否かを建物全体で判定することとされているところから、建物全体で65万円の青色申告特別控除が適用になるのではないかとの疑問もありますが、青色申告特別控除は、各共有者の不動産所得が事業的規模のものであるという前提で、各共有者について65万円を控除することができるものと解されています。 P311 5 質問者自身の申告における扶養控除 あなたの夫の準確定申告において扶養控除の対象とした長男と長女を、あなた自身の確定申告で再度扶養控除の対象とすることができるかという問題があります。 所得税基本通達83~84-1は、年の中途において死亡し又は出国をした居住者の控除対象配偶者若しくは所得税法83条の2第1項に規定する生計を一にする配偶者(以下「配偶者」という。)又は控除対象扶養親族として控除された者であっても、その後、その年中において相続人等他の居住者の控除対象配偶者若しくは配偶者又は控除対象扶養親族にも該当する者については、当該他の居住者が自己の控除対象配偶者若しくは配偶者又は控除対象扶養親族として控除することができる旨定めています。 したがって、あなたの夫の準確定申告で扶養控除の対象とした長女及び長男も、その年の12月31日の現況であなたの扶養親族に該当していれば、あなた自身の確定申告で、再度、扶養控除の適用を受けることができることになります。
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