源氏物語 A・ウェイリー版(3) の商品レビュー
やっと、本編読破。 あとは、宇治十帖のみ! アーサー・ウェイリーさんは、日本には一度も来たことがなかったんですね。 それなのにここまで訳せるなんて! アーサー・ウェイリーさんに、日本を観て欲しかったなぁ。
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100年ほど前にアーサー・ウェイリーが英訳した「源氏物語」をその英語訳の香りを残しながら日本語に訳し戻したまさに翻訳(翻る訳)版源氏物語の第三巻。 源氏がかつて政界を追われ明石に隠遁していた時に明石の君との間に生まれた明石の姫君の裳着(成人)の儀式と入内を描いた「梅枝」から始まり...
100年ほど前にアーサー・ウェイリーが英訳した「源氏物語」をその英語訳の香りを残しながら日本語に訳し戻したまさに翻訳(翻る訳)版源氏物語の第三巻。 源氏がかつて政界を追われ明石に隠遁していた時に明石の君との間に生まれた明石の姫君の裳着(成人)の儀式と入内を描いた「梅枝」から始まり、光源氏の絶頂期とその凋落の兆しの最長編「若菜」、そして光源氏亡き後の「匂宮」以降、宇治十帖の「総角(あげまき)」までを収録。 源氏物語という日本の古典と、片仮名言葉の融合。そして、ある時登場人物はとても躍動的に描かれる。それはいわゆる現代語訳の「源氏物語」とは趣が異なる。しかし、それは英語圏の人たちに日本の文芸作品を知らせようとした工夫から来るものであり、グロテスクではない。 英訳したアーサー・ウェイリーは英国における東洋学者。独学で中国語や日本語を学び、アジアの文化を欧州に紹介しようとした。 「源氏物語」も8年かけて訳している。とても単なる日本好きができる事ではない。英語訳はそこから更に多国語に訳され、ベストセラーとなった。 今回或る読書会で日本語訳をされた毱矢・森山姉妹にお話を聞く機会を得た。 その中でウェイリーが懸命に源氏物語の世界を理解しようとし、それを英語として表現するための機微を知る機会を得た。 例えば「あはれ」という日本語をウェイリーはその場面や状況に合わせて異なる英語に置き換えているという。 また、ウェイリーの書いた英語のリズムや、英語の古典作品を意識したであろうと思われる文体に出会えば、それを意識して日本語訳を考えたという。 それを敏感に感じ取って翻訳をした姉妹のセンスに脱帽する。 Amazonの書評を見ると批判的なコメントも目にする。 曰く「翻訳は原作を超えられるものではないのに何故わざわざ日本語訳するのか」 これは通常の翻訳の価値をも不当に貶めている。多くの源氏物語の現代語訳もまた翻訳だが、もし原作を超えられないと翻訳は意味がないとするならば、全てGoogle翻訳などの機械翻訳に任せればよい。一つの原作を様々な翻訳家たちが競って訳するのは、そこに原作を伝えたいという翻訳家の葛藤があるからで、原作と価値を比較するために翻訳があるわけではない。
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ゲンジが…! ゲンジが死んじゃった。。こんな風にいなくなるなんてと茫然とす。そしてアオイを喪った哀しみがゲンジの死と共に波のように寄せてくるのだ。ゲンジがいない源氏物語なんて、あと1巻と半分、どうやって読みきればよいのだ!とうろたえる。が、このあとがまた面白くなってきて… 1、...
ゲンジが…! ゲンジが死んじゃった。。こんな風にいなくなるなんてと茫然とす。そしてアオイを喪った哀しみがゲンジの死と共に波のように寄せてくるのだ。ゲンジがいない源氏物語なんて、あと1巻と半分、どうやって読みきればよいのだ!とうろたえる。が、このあとがまた面白くなってきて… 1、2巻よりも断然カラフルで華やかな3巻。まさに、源氏繁栄のクライマックス。ゲンジの死で初めて、これは彼のものがたりではなく、女性たちが主役の絵巻なのだと気付く。
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表紙を飾るクリムトの水蛇は美と死をイメージするのでしょうか。本巻は源氏の死から宇治十帖の前半まで。匂宮・紅梅・竹河は単調でつなぎの役割と思っていましたが、毬矢+森山訳は艶やかですね、ワクワクしました。光源氏のいた頃とは打って変わり色のない世界が広がる宇治十帖でしたが、息遣いが感じ...
表紙を飾るクリムトの水蛇は美と死をイメージするのでしょうか。本巻は源氏の死から宇治十帖の前半まで。匂宮・紅梅・竹河は単調でつなぎの役割と思っていましたが、毬矢+森山訳は艶やかですね、ワクワクしました。光源氏のいた頃とは打って変わり色のない世界が広がる宇治十帖でしたが、息遣いが感じられて素敵です。本シリーズは登場人物の思いや考えが書かれているので源氏物語がわかりやすく読めます。最終巻に期待が高まります♪
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