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われわれ自身のなかのヒトラー 新装版 の商品レビュー

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2021/09/14

1946年と戦後早い時点で出版されたナティズムに関する本。 タイトルから、精神分析的な人のなかに存在する破壊とか暴力に関する本能みたいなことを書いているのかなと思ったのだけど、かならずしもそういう話しではないみたい。 価値観が分断されて、ニヒリズムにおちいったところにヒトラー...

1946年と戦後早い時点で出版されたナティズムに関する本。 タイトルから、精神分析的な人のなかに存在する破壊とか暴力に関する本能みたいなことを書いているのかなと思ったのだけど、かならずしもそういう話しではないみたい。 価値観が分断されて、ニヒリズムにおちいったところにヒトラーが入り込んだ。ヒトラーやナチズムは、無価値、空虚なもので、ドイツ国民の混乱を表現したものにすぎない、みたいな話し。 もちろん、こうした傾向は、ドイツだけではなく、20世紀の社会には広くみられるものとするが、やはりドイツに特有のものとしての説明も多い。 で、著者の主張は、西欧の文化的な根源であるギリシア・ローマ〜キリスト教的なものとつながり、分断を乗り越えるという方向性。 分断のなかにヒトラーが入ってきたという側面はたしかにあるけど、ちょっと説明は単純すぎる感じだし、文化的なつながりという方向もリアリティは感じられないかな? 46年の時点で、こういう見方もあったんだという歴史資料的な感じで読んでしまった。

Posted byブクログ