からくりサーカス(完全版)(07) の商品レビュー

藤田和日郎(著者)

2019/01/05

からくりサーカス完全版第7巻。
7巻は、エリ公女閉幕、ヴィルマ登場&仲町サーカス加入、しろがねーOジョージ登場です。そう、ゾナハ病の地獄が語られるアメリカ・イリノイ州へ舞台は巡ります。

7巻で一番好きなセリフは「あんたの血はぜんぜん、足りないねぇ。」目先の命だけを救おうとする鳴海に、現実を突きつけるルシールの一言。
あなたのしていることは偽善だよ、と否定する酷薄さ。やらない善よりやる偽善、という別のマンガのセリフあって、こちらもかなり心打つセリフなんですが、やるべき場所を間違えてしまうとただの自己満足になってしまうという現実の恐ろしさ。その甘さに逃げるんじゃないよ、というルシールの厳しさ。そして、打ちひしがれる鳴海に差し伸べる先達としての助言。
一連のこの場面、好きです。重いけれど。
藤田和日朗作品のテーマは「泥なんてなんだい」と思っていますが、この泥は重い。泥をかぶって振り払うことができないから、「しろがね」は憎しみに囚われ「しろがねーO」は機械化していったのでしょうね。

あ、7巻で三牛親子も仲町サーカスに加入します。