橋本治のかけこみ人生相談 の商品レビュー
なぜ、この人は、こんなにも人間のことがわかってしまうのか?と、 ふと、思います。作家の想像力というか、橋本治氏の凄みというか。 現存いる人間で、恐らく最も、知性を持っている一人でしょう。 人に生き方をレクチャーできる数少ない人間です。 あらためて読むと、橋本治氏の人生相談への回...
なぜ、この人は、こんなにも人間のことがわかってしまうのか?と、 ふと、思います。作家の想像力というか、橋本治氏の凄みというか。 現存いる人間で、恐らく最も、知性を持っている一人でしょう。 人に生き方をレクチャーできる数少ない人間です。 あらためて読むと、橋本治氏の人生相談への回答は、 相談者が書かれた文章を正しく理解しようとするアプローチから始まります。 というか、それだけです。 あなたの相談文には、こう書いてあるけど、 少し論理がおかしいから、こうですよねとか、 なんで、この状況と、あの状況を一緒に考えてしまっているのか、 ほんとは、別々に考えることですよねとか、、、、 相談者からすれば、そうなんです、 本当は、それを悩んでいるんですと、、、思ってしまう。 全ての答え(解決策ではありませんよ)は、文章の中にある(自分の中)です! 悩みなんて、そもそも根本的に解決できないものであることは、誰でも知っているのに、 それでも、悩んでしまう、なぜか? 橋本治は、「知らないよ」という。 実は、はっきり、言ってくれた方がいい。 はっきりと、お前の悩みなんて、俺が解決できないし、 自分も、解決できないからと、言ってくれた方がいい。 できることは、「理解すること」だけです。 ただただ、橋本治氏は、悩みの正体を明らかにしていく、、、 そうすると、悩みの輪郭がはっきりしてくる。 どうやら、悩みというモノは、本人が思っているより、 よくよく観察して、きっちり理解してあげないと、 「扱いにくい」モノというとことがわかってきます。 なぜ人は悩むか、それに対しては決して回答しない。 だって、悩みなんて、そもそも、そのものが、あってないようなものだからです。 まるで、悩む→反応する→さらに悩む→さらに反応する の根本的なスパイラルの元である、悩みに対して、 橋本治氏は、輪郭をはっきりつける行為をおこなっているだけで、 あとは、やはり、橋本スタイルで、「あとは、自分で考えてね」と軽く突き放す。 ちなみに、橋本治の『青空人生相談』も、この本と同じスタイルですが、 かれこれ20年以上の前とは思えないほどの出来栄えです。 つまり、今読んでも、十分に面白い。 人生相談本としては、異色の出来というか、 このスタイルを超える、人生相談本は、これ以降も、出ないかなと思います。
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