聖者が街にやって来た の商品レビュー
「愚者の毒」と同じ作者だったので。 この作者によくあるほんのりとしたホラー要素は全くないのだが、 ほんのりと怖い。 正体の見えない殺人犯、が怖くてはミステリーが読めないので、 それではない。 街が変わっていくことが怖いのか。 青い恋の行き先が怖いのか。 夜の街を彷徨う少年と善...
「愚者の毒」と同じ作者だったので。 この作者によくあるほんのりとしたホラー要素は全くないのだが、 ほんのりと怖い。 正体の見えない殺人犯、が怖くてはミステリーが読めないので、 それではない。 街が変わっていくことが怖いのか。 青い恋の行き先が怖いのか。 夜の街を彷徨う少年と善悪の境を彷徨う少年はどちらが怖いのか。 ミステリーとして面白かっただけでなく、 花、ピアノ、料理、母子家庭、おかまバー、ドラッグ、高校生と いろいろな要素がうまくまとまっている感じ。 多分、花に詳しい人はもっと楽しめるのかもしれないが、 詳しく無くても問題はない。 他の作品に比べて最後の突き落とし感はなかったが、 しっとりとラストへ降りていく感じが良かった。
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多摩川市で古くから花屋を営む桜子と娘董子を中心に話は進みます。各章の頭に現れる食事シーンと与謝野直美のピアノ曲、そして犯罪シーンのカケラ、このあたりの魅せ方はさすがです。急成長した街でありながら、昔からいる人たちがつながりを大事に日々を営み、そこに絡む連続殺人事件と市主催のミュー...
多摩川市で古くから花屋を営む桜子と娘董子を中心に話は進みます。各章の頭に現れる食事シーンと与謝野直美のピアノ曲、そして犯罪シーンのカケラ、このあたりの魅せ方はさすがです。急成長した街でありながら、昔からいる人たちがつながりを大事に日々を営み、そこに絡む連続殺人事件と市主催のミュージカル…。いろいろ詰め込み過ぎというのは感じましたし、感想としては胸糞悪い、やるせないとしか言いようがないのですが、詰め込んだものどれもきちんと落としているのはさすがです。黒幕についての話だけは、特に今後をもっと読みたかったです。
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多摩川にあるとある街で起こる連続殺人。その殺人現場には必ず花びらが置かれている。1回目の殺人ではパンジー、2回目はマリーゴールド。その後もデンファレ、クレマチス、そしてプリムラ。 その連続殺人事件と同じ頃、街では新しくできる文化ホールで行われる市民ミュージカルに向けて、オーディシ...
多摩川にあるとある街で起こる連続殺人。その殺人現場には必ず花びらが置かれている。1回目の殺人ではパンジー、2回目はマリーゴールド。その後もデンファレ、クレマチス、そしてプリムラ。 その連続殺人事件と同じ頃、街では新しくできる文化ホールで行われる市民ミュージカルに向けて、オーディションで選ばれた市民が著名な演出家のもと毎週練習会が開かれていた。そのミュージカルに準主役級の役が与えられた高校生・小宮菫子、その母でフラワーショップを営む桜子、ごく普通の生活を送っていたこの母子が連続殺人に関わる事件に巻き込まれ、桜子の同級生で偶然この地区に配属になった刑事・乗松純が捜査を行うミステリー。 この他にも様々な人物が登場しますが、それぞれ個性があり人物関係が混乱しません。そのうえ複雑なトリックが使われているわけでも無く、とても読みやすい作品です。 ただし! 単純な人間関係のもつれによる殺人事件ではなく、そこにはIQ150を持つ超進学高に通う男子高校生、飛び級で東大に合格しその後MITでも学んだ研究所勤務のリケジョ、そして危険ドラッグに溺れ育児を放棄した女など、様々な要素が絡んだ読み応えがある展開です。 そして最後は思いもよらない真相の告白。 人には語られない過去があり、消したい過去がある。そんな思いが生んだ悲劇は本当に切ないです。最後はみんな幸せになってもらいたい。
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宇佐美さん久しぶりに読みました。最近はホラーじゃないのかな? 充分面白かったのですが、他の方のレビューを見ると、もっと面白いミステリもあると…読まなきゃじゃない!
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なぜにここに食事のシーンが? と思っていたのだが、そういうことだったのか。なるほど。 怪しいと思っていた人物二人も全く無関係というわけではないけれど、こういう展開になるとはびっくり。 誰を信じていいのかな。
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1月-2。3.0点。 歓楽街で花屋を経営する、未亡人。高校の娘が一人。 女性ばかりを狙う連続殺人が発生。 娘は市民ミュージカルの主役に選ばれるが、別の事件に 巻き込まれ。。。 連続殺人の動機が、弱い気がする。 娘が巻き込まれる別事件も、そんな理由だけで。という感じ。 次作に期...
1月-2。3.0点。 歓楽街で花屋を経営する、未亡人。高校の娘が一人。 女性ばかりを狙う連続殺人が発生。 娘は市民ミュージカルの主役に選ばれるが、別の事件に 巻き込まれ。。。 連続殺人の動機が、弱い気がする。 娘が巻き込まれる別事件も、そんな理由だけで。という感じ。 次作に期待。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
新旧住民が入り交じる神奈川県多摩川市の再開発地区で起きた女性連続殺人事件。 どの殺害現場にも何故か花が残されていた… 連続殺人、格差、子供の貧困、ストリートギャング、危険ドラッグ・・・日本の「今」のあらゆる問題をてんこ盛りにしたような作品は、ややとっちらかった印象はあるものの、社会派作品としてもミステリーとしても十分楽しめる。 (犯人はすぐ分かっちゃったけどね〜) 子供っていうのはどんな状況にあっても、いくつになっても母の愛を求めるものなんだな~としみじみ…… 宇佐美さん、「愚者の毒」が良かったから、それ以降の作品のハードルが上がりすぎて、なかなか満足できないのが申し訳ないです(;^_^A
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清濁併せ呑む感のある新しい街で起こった連続殺人事件を描いたミステリ。なのだけれど、事件そのものよりもむしろその街で生きる人たちの物語がメインだという印象でした。もちろん事件の謎もしっかりと読みごたえがあるけれど。彼や彼女らの物語がまずあって、だからこそ事件の様相がじわじわとしみこ...
清濁併せ呑む感のある新しい街で起こった連続殺人事件を描いたミステリ。なのだけれど、事件そのものよりもむしろその街で生きる人たちの物語がメインだという印象でした。もちろん事件の謎もしっかりと読みごたえがあるけれど。彼や彼女らの物語がまずあって、だからこそ事件の様相がじわじわとしみこんできます。 困難や事件に巻き込まれつつ生きる力を強めていく少女や、寂しさを抱えて歪んでしまった少年など魅力的なキャラクターが多いですが。オカマさんたちがもうどうしようもなく素敵です。確かに一番困難を乗り越えて生きてきた人たちなのかもしれませんし。彼女たちの強さと優しさにはぐっと来るものがありました。 事件の真相は何ともいえず悲しいものなのだけれど。それでも読後感はとても前向きで爽やかに感じられました。誰にでも「聖者」は来るのだと思いたいです。
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今年3冊目の宇佐美まこと作品になるが、満足度では残念ながら一番低かった。女性ばかりが被害者の連続殺人。その傍には必ず花が置かれているだけで、他には接点が見つからない。その犯人を刑事が探すのが物語の中心だけど、それに繁華街の花屋の親娘や、親に見捨てられた中学生、オカマ、ストリートギ...
今年3冊目の宇佐美まこと作品になるが、満足度では残念ながら一番低かった。女性ばかりが被害者の連続殺人。その傍には必ず花が置かれているだけで、他には接点が見つからない。その犯人を刑事が探すのが物語の中心だけど、それに繁華街の花屋の親娘や、親に見捨てられた中学生、オカマ、ストリートギャングなどが絡み合い、色んな要素が入り過ぎてミステリとしてもサスペンスとしても中途半端になってしまっている。ただ、ゴチャついていても読み易いのは作者の技量で、その点は見事だと思った。あと、作品の出来には関係無いが、女流作家の描く性描写は妙に生々しいなあ(^-^)。
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センセーショナルな帯に惹かれて、手に取った作品。 著者初読み。 急激に住宅街化する、架空の多摩川市で若い女性の遺体が続けて見つかる。 2件目までは、事件とも自殺とも判断がつかず、連続殺人としては扱われないが、一人の刑事だけは現場に残された花に共通点を見つけ、連続殺人の線を追う。 ...
センセーショナルな帯に惹かれて、手に取った作品。 著者初読み。 急激に住宅街化する、架空の多摩川市で若い女性の遺体が続けて見つかる。 2件目までは、事件とも自殺とも判断がつかず、連続殺人としては扱われないが、一人の刑事だけは現場に残された花に共通点を見つけ、連続殺人の線を追う。 物語は急激に住宅街となる地区に残る、昔ながらの風俗街で、夜遅くまで営業する花屋の母子の話を中心に展開する。 「同一犯か?模倣犯か?」と煽っておきながら、事件そのものについての描写は少ない。 多摩川市で行われる市民ミュージカルや、娘のサイコパス的なボーイフレンドの話など、何を主で描きたいのかが、理解出来ない。 事件が解決しても、動機がいまいちで、帯に騙された感が否めない。
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