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連結経営実現のためのキャッシュ・マネジメント・システム の商品レビュー

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2020/10/22

新宿区図書館よりお取り寄せにて。2018年12月刊だが、全くページに折り目が感じられない(お初読者か?)。そんなニッチクラスタ住民向けの書であるが、頭の中で、容易に経営効率を向上させる一手と理解していたキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)の実践には、多くの実務的な課題や論...

新宿区図書館よりお取り寄せにて。2018年12月刊だが、全くページに折り目が感じられない(お初読者か?)。そんなニッチクラスタ住民向けの書であるが、頭の中で、容易に経営効率を向上させる一手と理解していたキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)の実践には、多くの実務的な課題や論点整理が必要であることが、概観できる良書。 2007年7月に日本経済新聞社が調査したところによると、時価総額1000億円以上の東証1部上場企業(金融を除く)では68%でCMSを既に導入済み…とのこと。★その後、干支が一回りしての現状はいかなるか? 「キャッシュ・プーリングはCMS参加会社に資金効率の向上と言う大きなメリットを提供する反面、CMS参加会社の資金繰りの甘さ(予実差異)は、参加会社数の多さに比例して金額が積み上がる結果、最終的にはインハウスバンクの資金繰りを大きく狂わせる要因となる(…)多くの企業の財務責任者が国内CMSの課題と認識していたことである」(p.62)★ERPのような入出金予定を半ば自動的かつリアルタイムに集約する仕組み、さらに言えば受発注段階から入出金期日に牽制を効かせるSFAや購買管理の仕組みが効果を発揮する局面である。 出資法及び貸金業法に対しての解釈も、近年整理され、過半議決権を有しない親子会社間での資金融通等に関しても、貸金業登録不要の線に落ち着いているとのこと(p.68) 外為法の規制緩和に伴うネッティングと特殊決済方式の進化発展は、多国籍化する大規模グループ企業の運転資金の効率化や銀行手数料の削減に大きな影響を及ぼす(のだが、日本やシンガポール以外の)アジア諸国では何らかの資本移動規制があるため、クロスボーダーでのネッティングは自由に運用できない状況にある(p.142)★この自由度を高めることは、畢竟、大きな為替変動リスクを負うことになるため、一企業レベルの資金効率という個別最適と全体最適に齟齬が生じる典型例だ。 CMS口座残高を毎日0円とする0バランスを実施する方式をアクチュアル・プーリングと呼ぶ(…)一方で、実際にグループ企業間で資金移動を行わずに資金集中化を実施するのが、ノーショナル・プーリングで(…)参加会社の運転資金が不足する場合には、当該会社の口座のマイナス残高が許容される(…この方式なら)アクチュアルプーリングの資金集中化によるメリットを享受しながら、運転資金が不足する場合には必要な資金のみを引き出すことが可能となり(…)運転資金の圧縮を実現できる(p.150)★「帳合」によって資金受給のバランスを取る方式であり、この方式なら先のクロスボーダーネッティングの規制にも対応することができる。 (しかしながら)連結会計上では借り入れと預金を相殺できるか否かの統一的な見解がなく(…)ノーショナル・プーリングの参加会社間の貸借連結消去の可否は、その見解が分かれている(…上に)国境をまたいで稼得する利息に推定課税する国では、税務リスクが生じる可能性がある(…ために)特別な理由がなければ(理論的にはより資金効率を高められる可能性のあるノーショナル・プーリングではなく)アクチュアル・プーリングを採用すべきである(とする論もある。p.154)★月並みではあるが、こうしたいわばラストワンマイル的な足元の問題が、様々なイノベーションの妨げとなる構図は、いつも同じだ。 「#連結経営実現のためのキャッシュ・マネジメント・システム」(金融財政事情研究会、福嶋幸太郎著) Day256 https://amzn.to/2IVhC0d

Posted byブクログ