多文化共生 人が変わる、社会を変える の商品レビュー
多文化共生について考えるだけではなく、それを現実社会においてどう具現化していくか、「新しい文化の形や社会のあり方」をどう創っていくかが考察される。 一面的すぎる部分もあったが、それでも、全体を通して、実現可能性への言及や想定され得る反論への反論も盛り込まれており、また著者たちが...
多文化共生について考えるだけではなく、それを現実社会においてどう具現化していくか、「新しい文化の形や社会のあり方」をどう創っていくかが考察される。 一面的すぎる部分もあったが、それでも、全体を通して、実現可能性への言及や想定され得る反論への反論も盛り込まれており、また著者たちが実践者であることも手伝って、説得力があった。 「多文化共生」という耳に優しいマジカルワードに慣れきってしまった多文化共生信者(わたし自身含め)こそ読むべき本。 特に印象的だったのは、 ・山田氏による「多文化共生」という単語そもそもを問い直す第1部。「戦略的同化」はとて重要だと感じる(ネーミングと表現の仕方は刺激的だが、マイルドに言い換えると共通言語をみつける、ということなのではないかと推察)。 ・飛田氏による演劇ワークショップを通じた多文化共生社会実現のための試み。こういう演劇とかワークショップは現実社会と切り離され過ぎていて違和感を持っていたが、理想的な多文化共生を誰も実体験したことがなく、想像できないなかで、演劇通して「そのような社会のひな形を構築」し「そのような社会を構築していくのに参考となるヒントのようなものを形づくっていく」、そういった擬似体験を通して目指すべきものの形をつくっていくことができる、という視点は目から鱗だった。
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