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小説を深く読む の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2021/08/08

 芥川賞受賞作『僕って何』が掲載された文藝春秋を買った記憶がある。「(受賞者リストに)ぼくの名前も書いてあるのだが、いつの間にか、半分よりも前に位置するようになった。いまの若者が見たら、『死んだ作家』と思われるかもしれない」とあるから、ずいぶん昔のことになった。  読書遍歴がクリ...

 芥川賞受賞作『僕って何』が掲載された文藝春秋を買った記憶がある。「(受賞者リストに)ぼくの名前も書いてあるのだが、いつの間にか、半分よりも前に位置するようになった。いまの若者が見たら、『死んだ作家』と思われるかもしれない」とあるから、ずいぶん昔のことになった。  読書遍歴がクリスティーから語られるのは嬉しい。  志賀直哉『城の崎にて』について「山手線にはねられたら、ふつう死ぬでしょう。山手線にはねられても、生きている。やっぱりこの人は『神様』なのか、と思ってしまった」。ここは可笑しかった。  漱石『こころ』、川端康成『伊豆の踊子』の読み解きに得心した。  後半は旧著『書く前に読もう超明解文学史』と重なる部分が多く、よい復習になった。

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2020/03/23

小説の読み方の手掛かりとしては、構造と耽美というのを挙げている。構造というのは、神話にあるような人間の行動・心理のパターンのようなもので、登場人物の在り方が普遍化されるのだと思う。二重、三重の構造になっているのも多い。志賀直哉の「和解」「暗夜行路」、漱石の「こころ」、大江健三郎の...

小説の読み方の手掛かりとしては、構造と耽美というのを挙げている。構造というのは、神話にあるような人間の行動・心理のパターンのようなもので、登場人物の在り方が普遍化されるのだと思う。二重、三重の構造になっているのも多い。志賀直哉の「和解」「暗夜行路」、漱石の「こころ」、大江健三郎の「万年元年のフットボール」、マルケスの「百年の孤独」、それに「源氏物語」もそうである。耽美というのは、リアリズムを装いながらも作者の幻想の世界、異界に入っていくものである。川端康成の小説は、ほとんどそうであるといっていいだろう。梶井基次郎もそう。「伊豆の踊子」については、著者のなるほどと思わされる解釈があって興味深い。他にもいろいろな作品に触れているし、著者自身の小説家としての経験や思いが書かれていて、どれも分かりやすい文章なのがいい。まあ、この本は文学作品を深く読むための鳥羽口を示しているのであって、本当に深く読むのは読者自身だろう。

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2019/02/09

志賀直哉は小説の神様。有名な「城の崎にて」は、山手線にはねられ大怪我をして療養のため城崎温泉に来たところから物語は始まる。山手線にはねられても怪我だけで済む志賀直哉。生きているというのは、さすがに神様。高校の教科書に掲載されており、誰もが必ず読んでいるが、若すぎて、死についてそれ...

志賀直哉は小説の神様。有名な「城の崎にて」は、山手線にはねられ大怪我をして療養のため城崎温泉に来たところから物語は始まる。山手線にはねられても怪我だけで済む志賀直哉。生きているというのは、さすがに神様。高校の教科書に掲載されており、誰もが必ず読んでいるが、若すぎて、死についてそれほど深く考えたことがないからだろう。ピンと来ない。読む側に人間的深みがないから味わうことができない。無駄をとことん削ぎ落した簡潔美。神と仰がれる志賀文学の神髄がここにある。あらためて読み直し深く心震わされた。

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2019/01/28

文学を深く読むためには、枠や構造を理解する必要がある。これらを知るだけでも次に出会う小説への向かい方が変わるように感じた。

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2019/01/13

紹介された本 早速 読んでみようと思った。 面白い 「村上春樹を芥川賞作家として評価できなかったのは、芥川賞の長い歴史の中でも、最大の失態ではーー」 印象に残った。

Posted byブクログ