夜汐 の商品レビュー
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「死が意味を持つのはその生に意味があったときだけさ」 新選組の沖田総司が蓮八に向かって飄々と言い放った言葉が、後になって胸を刺す。 やくざ者の蓮八が自分の命と引き換えても、どうしても守り抜きたかったものは、幕末のごった返しのご時世には青臭くて不似合いに思えるかもしれないけれど、このご時世だからこその一途で純粋な想いに胸打たれた。 凄腕の殺し屋・夜汐や、脱走者として新選組から命を狙われても、ただひたすらに愛する女の許を目指す蓮八。 誰も正体を知る者はおらず、しかも一度も失敗をしたことがないと噂の夜汐の気配を至る所で感じながらの逃走は、肉体的にも精神的にも蓮八を追い詰め、読んでいてハラハラしっぱなし。 ようやく生の意味を実感した蓮八と夜汐の最後の決着の付け方は切ないけれど、とても良かった。
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結構面白かった。 新撰組はでてくるけど、新撰組のお話、ではない。 人並みに幸せになることすら大変だった時代もあったんだなぁ、とおぼろげに思いました。 2019.3.24 49
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この作家が時代物?! びっくり 幕末の動乱期、実在と創作の人物をうまく織り交ぜて 話を進めていく 読む勢いは止まらなかった 表紙の狼が不気味 やはり女性は強い ≪ 志? 生きていくため ただ生きる ≫
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幕末の混乱期.黒狼が死神のような「夜汐」として雇われ殺人を繰り広げる.その彼なりの矜持がこの物語の核となる.苦界に沈んだ幼馴染を不法な遣り方で救った蓮八は.夜汐から逃げるため京都まで行き,新選組に入ったはいいが八穂の手紙で江戸に舞い戻る.その逃避行の中での出来事が生死に関わる禅問...
幕末の混乱期.黒狼が死神のような「夜汐」として雇われ殺人を繰り広げる.その彼なりの矜持がこの物語の核となる.苦界に沈んだ幼馴染を不法な遣り方で救った蓮八は.夜汐から逃げるため京都まで行き,新選組に入ったはいいが八穂の手紙で江戸に舞い戻る.その逃避行の中での出来事が生死に関わる禅問答のようでとても興味深かった.そして,最後まで夜汐が何だったのかわからなかった.
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幕末より始まる時代物、それに愛を加えたものか。やくざの蓮八は、賭場より大金を盗み、幼馴染の八穂を救う。取られた側は、殺し屋・夜汐を送り込む。蓮八は新撰組の入るが、八穂より文が届く。八穂の元に行くために、新撰組を脱退する。そのことで土方、沖田、夜汐に狙われることになるが…。 東山さ...
幕末より始まる時代物、それに愛を加えたものか。やくざの蓮八は、賭場より大金を盗み、幼馴染の八穂を救う。取られた側は、殺し屋・夜汐を送り込む。蓮八は新撰組の入るが、八穂より文が届く。八穂の元に行くために、新撰組を脱退する。そのことで土方、沖田、夜汐に狙われることになるが…。 東山さんが時代ものを書くとはね。それだけでなく正体不明の殺し屋を描いて。蓮八の想いの物語でもあり、八穂の女の強さも出てたし、その人たちの志、仁義、主義、くっきり出してて読み入ったなあ、特に後半は目が離せなかった。夜汐の最初と最後はどんな感じなんだろうなんていうのも気になりますが(夜汐中心の物語を読んでみたい)。 沖田が物語を面白くさせてたね。
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苦手な時代物だが苦労することなく楽しく読めた。 時は文久3年。江戸時代末期の頃の話。ヤクザ者の蓮八が幼馴染の八穂を吉原から身請けするために八穂の弟の亀吉に知恵を貸し、ヤクザのシマで賭場荒らしをする。身請けした亀吉は、しばらく八穂と料理屋「とっつぁん」を営んでいた。一方、蓮八...
苦手な時代物だが苦労することなく楽しく読めた。 時は文久3年。江戸時代末期の頃の話。ヤクザ者の蓮八が幼馴染の八穂を吉原から身請けするために八穂の弟の亀吉に知恵を貸し、ヤクザのシマで賭場荒らしをする。身請けした亀吉は、しばらく八穂と料理屋「とっつぁん」を営んでいた。一方、蓮八は八穂を亀吉に託し、自分は京都に行き新選組の一員となった。 シマを荒らされたヤクザは、夜汐という凄腕の殺し屋を雇い、亀吉と蓮八殺しの依頼をする。八穂からの文で亀吉が殺された報せを受けた蓮八は、新選組を抜け出し、新選組と夜汐から狙われながらも八穂の元へと向かう。しかし、蓮八はなぜか夜汐に狙われながらも、守られているようにも感じるのだった。 これは時代小説の名を借りた純愛小説と言っても良さそうだ。蓮八が八穂を想う気持ち。八穂が蓮八を想う気持ちがヒリヒリと伝わってくる。ただ、この時代に生きなくて良かったと心から思う。いくら志を振りかざしても、新しい時代の波に飲み込まれてしまうのは、あまりにも切ない。 そして夜汐。夜汐とはいったいなんだったのだろう。
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