自分でできる!遺産分割調停・審判の進め方 の商品レビュー
本書は、遺産分割調停事件を多く扱ってきた6名の弁護士が、これまでの一般の方向けの相続に関する書籍などでは触れられてこなかった遺産分割のルール、相続人間での合意形成のための基準、特別受益・寄与分の主張・立証方法などを解説している。一部会話形式で理解しやすい構成になっていた。実務的に...
本書は、遺産分割調停事件を多く扱ってきた6名の弁護士が、これまでの一般の方向けの相続に関する書籍などでは触れられてこなかった遺産分割のルール、相続人間での合意形成のための基準、特別受益・寄与分の主張・立証方法などを解説している。一部会話形式で理解しやすい構成になっていた。実務的に苦手意識が出そうな論点ばかりだけに非常に助かる構成であった。初学者から経験豊富な実務家まで幅広く役立ちそうな良書。 P111 待ち時間が長いことは、決して悪いことではない 調停では、相手が調停室に入っている時は、待合室で待つことになります。ときには1時間近く待たされることもあり、「自分の話は少ししか聞かれなかったのに 相手の言い分ばかりよく聞いているのではないか・・・」などと不安になる方もいるようです。 しかし、待ち時間が長いことは、決して悪いことではありません。調停委員が当事者の主張を理解できずよくよく確認している場合や、無理な主張をしている当事者を説得しているような場合には、時間が長くなります。一方、主張がよく理解でき、合理的である場合は、改めて当事者に確認する事柄もあまりないので、すぐに終わるものです。 待ち時間が長くても、不安になることはありません。うまくいっているのだと思って、本でも読みながら、ゆったり待ってはいかがでしょうか。 P309 遺言無効と遺留分減殺請求 遺言者の遺言能力がなかったことなどを理由に、遺言書の効力を争う場合があります。仮に遺言が無効になれば遺贈も認められず、法定相続分での遺産分割になるので、遺留分侵害の問題は発生しないことになります。 しかし、遺言無効が認められるケースは少なく、裁判で遺言が有効であることが確定した時には遺留分減殺請求権の行使の期限が到来してしまっている場合もあります。したがって、遺言無効を主張する場合であっても、遺言が有効と判断された場合に備えて、予備的に遺留分減殺請求権を行使しておくことが必要です。
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