M&A 財務デューディリジェンス の商品レビュー
財務デューデリジェンスに関する決定版的な書籍。M&Aのプロセスとしての財務デューデリジェンスの概要、セルサイド・バイサイドといった依頼主の立場別留意点などが解説されており、M&A実務に携わる職業会計人は必携の書籍だ。 P166 (3)過剰債務状況の把握 再生対象企...
財務デューデリジェンスに関する決定版的な書籍。M&Aのプロセスとしての財務デューデリジェンスの概要、セルサイド・バイサイドといった依頼主の立場別留意点などが解説されており、M&A実務に携わる職業会計人は必携の書籍だ。 P166 (3)過剰債務状況の把握 再生対象企業は事業から生み出すキャッシュフローに比して過剰な債務を抱えていることが多くその状態を把握することは財務デューディリジェンスの主要な目的の1つである。過剰債務の金額は、一般的には余剰現金預金·非事業用資産と正常運転資金を考慮したあとのEBITDAの10倍を超える有利子負債の額として算定される。ここで用いるEBITDAは、正常化後のものであることに留意が必要である。10倍というのはあくまで1つの目安であって、たとえば、不動産賃貸業のように耐用年数の長い設備を利用して長期間安定的な営業キャッシュフローを創出するような事業の場合、有利子負債の返済原資として10年以上の期間のキャッシュフローを見込むことができるかもしれない。そうした場合、たとえば、正常化EBITDAの11~15倍までは正常に返済可能な有利子負債とみなすことができるかもしれない。 「私的整理に関するガイドライン」によると、事業再生計画における抜本的な基準として計画期間終了後の要償還債務が10年以内に収まっていることが挙げられている。事業再生計画の期間を3~5年とするとデューディリジェンスの時点ではやはり正常化EBITDAの15倍くらいまでは返済可能な有利子負債として考えることができるかもしれない。
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