1,800円以上の注文で送料無料

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 の商品レビュー

4

22件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/01/11

2003年に渡辺一史さんにより刊行された「こんな夜更けにバナナかよ」というノンフィクション作品の映画化に向けて、脚本家の橋本裕志さんが脚色し、前川奈緒さんが小説化した合作。 筋ジストロフィー患者が主人公のノンフィクションが原作ということもあり、心して読むものかと思いきや、主人公...

2003年に渡辺一史さんにより刊行された「こんな夜更けにバナナかよ」というノンフィクション作品の映画化に向けて、脚本家の橋本裕志さんが脚色し、前川奈緒さんが小説化した合作。 筋ジストロフィー患者が主人公のノンフィクションが原作ということもあり、心して読むものかと思いきや、主人公である鹿野さんと、周りでお世話をするボランティアたちとの掛け合いは、障害者だからとか、病気だからとか、ボランティアとはとか、そういう概念を飛び越えて、人間とは、人生とはという奥底にある本質を楽しく愉快に考えさせられるとともに、ハッとさせられた。 一人では寝返りすらうてない、筋ジストロフィーという病気を抱えながら、病院ではなく、自由に自立した自宅生活を送りたいという鹿野は、ボランティアたちに支えられ、わがまま放題。障害がなければ、ふとバナナが食べたくなったら、コンビニに行って買ってくるという行為すら我慢せず、時間を気にせずボランティアにバナナを買いにいかせる。 そんな鹿野を支えるボランティアは、鹿野のわがままを嫌々聞いているわけではなく、人間味溢れる鹿野のわがままを叶えてやりたいと集まっている。なかには、自分にも予定や仕事があるにも関わらず、断れずにボランティアに参加している医学生もいる。 小説では、その医学生である田中の恋人である美咲が、田中が何度もデートをキャンセルする理由を怪しんで、鹿野の自宅に押し掛けたところ、鹿野の姿とボランティアたちを目の当たりにし、最初は嫌々ながらではあったが、いつの間にかボランティアに参加することとなっていく。 鹿野は美咲に恋心を抱くようにもなる。田中はというと、優しいというより、極度に人を傷つけたくない、嫌な気持ちにさせたくないという性格で、美咲との関係も離れていってしまう。 鹿野の夢である、英検2級に合格し、自分の自立生活への想いのきっかけを作ってくれたアメリカ任に会うための旅行に行くことと、徹子の部屋に出ることは叶うのか。 また、病状が悪化してしまったら、自宅での自立生活など無理になってしまうのか。 読んでいるこちらも、鹿野の命がけのわがままを応援したくなる一冊だった。 作品中、鹿野のわがままを見かねた美咲は、怒りを抑えた声で「障害者ってそんなに偉いの?障害者だったら何言ってもいいわけ?」と不満と怒りをぶちまける。しかし、徐々に「障害者」だからという属性ではなく、鹿野の個性とつながり、今まで障害者を差別したり区別したりするべきではないと教えられてきた自分でも、初めから鹿野のことを障害者という前提で見ていたことに気づく。障害者だから偉そうなのではなく、偉そうなのは鹿野の個性であることを受け入れる場面がある。 自分も将来、幼稚園経営をしたいという夢があり、そこで障害をもった方にも働いてもらいたいという夢があるが、この想いもまた障害者という前提をもったものなんじゃないかとドキッとした。 夢が叶って人様を雇えるようになったとき、障害があるからではなく、一人の人間として仕事を任せられる気持ちをもちたい。

Posted byブクログ

2018/12/19

【大泉洋、高畑充希、三浦春馬出演で映画公開! ノベライズ版】筋ジストロフィーで寝返りも打てない、けど、自由に暮らしたい! わがまま患者とボランティアの壮絶ながら命の輝きに満ちた日々。

Posted byブクログ