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オリンピック全史 の商品レビュー

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2019/07/08

近代オリンピックはいかに誕生し、発展し、変貌してきたのか。多難なスタートから二度の大戦/冷戦を経て超巨大イベントになるまで、政治・利権・メディア等との負の関係、東京大会の課題まで、すべて詳述した決定版!(e-honより)

Posted byブクログ

2019/01/14

2019年新年、オリンピックイヤーを前にしてNHKは大河ドラマ「いだてん」を開始し、2回目の東京オリンピックを盛り上げようとしてしています。そのNHKは、1964年の大会の際に、世界で初めてオリンピック放送センターを設置したことを本書で知りました。現在のオリンピックのビジネスモデ...

2019年新年、オリンピックイヤーを前にしてNHKは大河ドラマ「いだてん」を開始し、2回目の東京オリンピックを盛り上げようとしてしています。そのNHKは、1964年の大会の際に、世界で初めてオリンピック放送センターを設置したことを本書で知りました。現在のオリンピックのビジネスモデルにとって放映権が大きな意味を持つことは言うまでもありませんが、その始まりに日本が関与していたことは、TVというメディア産業の勃興の歴史と極東という地理的条件を考えれば当たり前なのかもしれませんが、それでも新鮮な情報でした。それはあまりにこの世界最大のイベントが神の恩寵みたいに与えられるもの、という思い込みが強いからなのかもしれません。この本は、近代オリンピックが生まれる序章から、東京に至るまでの各大会の物語を一気に駆け抜けるマラソンのような感覚を与えてくれます。それは、その祭りを司るIOCという神の存在の矛盾の歴史でもあり、それぞれの開催地の欲望の歴史でもあります。オリンピックの神様は天上に在わす訳ではなく、スイスのローザンヌにリアルに存在し、なのにNPOとして誰のガバナンスも受けずにいる、ということで相当に生々しい権力なのです。いよいよ東京もJOCの竹田会長がフランスの司法当局から招致の不正の疑いをかけられたというニュースが飛び込んで来て、2020年も無傷とはいかないのかな?というタイミングで読了。我々のオリンピックがどうこう、ということは置いておいて、本書を読んで気づいたことは国際社会があってオリンピックがあるのではなく、オリンピックがあるから国際社会というものが生まれてくるのではないか?ということです。クーベルタンのノブレスオブリージュ的初期設定がナショナリズムを超越したことの重要性はとても大きいと思います。しかし、その発展のエネルギーは各国の獲得メダル数に代表されるナショナリズムそのものであった矛盾は付きまといます。その矛盾こそが現在のグローバルの問題であり、それは経済と政治抜きでは語れず、従ってオリンピックは経済的存在、政治的存在であることに蓋をしている限界を筆者は指摘しているように思います。実際、IOCが語る教義としてのオリンピズムには、本書では全く触れていません。反対運動を封じ込めて、汚職にまみれたBRICsのオリンピックが一回りし、東京、パリ、ロサンゼルスという成熟国のオリンピックの流れが続く時、この人類が発明した最大のお祭りの存在意義はアップデートされるのでしょうか?

Posted byブクログ